五洲薬品㈱(富山市花園町、076-424-2661)は、電気透析装置を使い、海洋深層水原水を淡水・ミネラル濃縮水・濃塩水に三分画し、組み合わせることで、創傷ケアの洗浄水、脱水症対策の塩飴、口腔補湿液―― など様々な商品を開発してきた。背景には産学協同の機能研究の進展があり、機能性表示導入の動きもあり、注目を集めている。
今回上市の新製品、電解質補給水『ORWater』は、熱中症対策などに向けた電解質補給水で、水分と電解質の吸収効率を高めるために、ブドウ糖、クエン酸を配合、体液に吸収されやすい低浸透圧(200mOsm/L)の商品。熱中症ガイドラインに準じたNa濃度も実現し、理想的な商品に仕上げた。
同社はこれまでも、海洋深層水に含まれるミネラルやアミノ酸を用途別に組み合わせ、それらの機能研究に取り組んできた。富山大学や浜松医科大学などの研究機関で分析、病院での臨床試験なども通じ進めている。
なかでも、地域資源活用型の事業としてスタートした「海洋深層水分離加工技術により製した分離水による創傷ケア製品開発」では、海洋深層水由来の等張液による皮膚疾患臨床試験で、褥瘡やスキンケアで、著しい改善結果が報告された。等張液に、組織恒常性があることで、病理組織診断で生理食塩水よりも優れた細胞維持機能が確認され報告された。また、臓器移植用の保存液への応用の可能性も考えられるとしている。
これらの研究を踏まえ褥瘡対策の洗浄水や、ニキビなどの皮膚疾患対策の化粧水などへの活用も大手化粧品メーカーと始まり、新たな可能性が広がっている。既に、海洋深層水の濃塩水をベースに、熱中症対策の飲料などを上市、スポーツ分野でも拡販。全国の海洋深層水ブームが一息つくなかでも、同社の独自の電気透析による分画技術で、サプリメント、スポーツ飲料・経口補水液から、医療用の等張液、化粧水へと新たな分野を切り開こうとしている。
研究発表論文、「海洋深層水成分の病理組織診断への応用」「肥満・糖尿病、高脂血症マウスに関する海洋深層水利用飲料の効果」など多数。