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【主張】固有記号の是非を巡って

 製造所固有記号の是非をめぐる議論で消費者庁は7 日、食品表示基準(案)についての意見募集を開始した。論点が整理されずに、こうした動きとなった背景には、来年の6 月の食品表示基準の施行が迫っていること、消費者委員の強硬な主張があるためと考えられる。
 そもそも、固有記号の問題は「食品衛生法施行規則第21条第10項の規定に基づき、厚生労働大臣に届け出た製造所固有の記号並びに販売者氏名及び住所(注)を記載することにより製造所所在地及び製造者の氏名の表示に代えることができる」とあり、その理由として「販売者が実質的に食品の安全性に責任を有する場合など製造者ではなく、販売者を表示するのが適当な場合があるが、その場合であっても製造者、製造所を特定する必要があるため」と説明している。
 消費者はメーカーの商品を購入するので、自動車の部品工場と契約しているのではない。部品工場も製造責任は一義的に発注元のメーカーに負うべきで、購入者たる消費者への説明責任は主としてはないのではないか。医薬品では、販売メーカーが消費者への一義的な責任を担っているため製造責任も販売メーカーが一義的に担う、と関係者は説明する。ところが一部の消費者委員は「事業者の利便性を図るルール」「固有記号は隠れ蓑」と廃止を迫るが、果たして消費者が製品のクレームをどこに伝えるかとすれば、やはり購入先のメーカーであり、情報もメーカーが一義的には所有する。そもそも、固有記号は、問題が起きた時に行政が迅速に動けるための専門情報でしかない。消費者にも産業界にもメリットをもたらさない「固有記号の廃止論」を「企業は悪」という人々の主張で、振り回されるような状況を放置して良いのだろうか。


 産業界からは、製造企業も「(消費者の)問い合わせに答える仕組みが必要なのか」「問い合わせに答えるには、メーカーとの守秘義務契約はどうなるのか」という戸惑いや、コスト負担と転嫁の問題、「ただでさえ狭いスペースで、製造企業も記載すれば、消費者は混乱しないか?」「悪徳商法などの販売者の尻拭いがきても」など、困惑や呆れきった諦めの声も出ている。意見公募の締め切りは10日である。

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