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【主張】システマティック・レビューの二次利用で、版権、著作権はどうなるか?

 新たな機能性表示を行うに当たって必要とされる科学的根拠や安全性について高いハードルが示され、これでは第二トクホではないか? という失望が業界に広がるなかで、新たに、専門家の間からS R(システマティック・レビュー)において、版権や著作権の問題をどう扱うのかといった疑問が投げかけられている。
 ちなみに日本健康科学学会『Health Sciences』の査読論文の投稿規定によれば、同誌に掲載された著作物に関する放送権や翻訳権、利用権など様々な利用に際し、全て同学会の許諾を受けるものと書かれており、商業ベースでは更に新たな問題を想定するのが一般的だ。すでに、専門家への取材では、メタアナリシスなどで論文を使用する場合は、使用権の許諾などの手続きに加え、版元への使用料の支払いなどが行われているという。当局の説明でも「中小企業が独自にヒト試験ができない場合は、該当する論文を検索すればそれを利用することもできる」としているが、今回の仕組みではそれらの論文を根拠としてホームページ上などで示すことになるわけで、こうしたSRの二次利用は、あくまでも仕組みとしての可能性で、商業ベースでは「(手続きを踏まなければ)膨大な損害賠償の危惧もある」という指摘だ。


 そもそも、文献検索した後のレビューに関し、製薬メーカーに問い合わせると、「そうした人材は医薬品メーカーや一部の大手食品メーカー以外では確保していないのではないか?」とし、また「疾病対策以外での研究論文は仕組み上極めて少ないのではないか」など、運用上の難しさを指摘する声も相次いでいる。今回の制度設計では、医学・薬学での評価手法を横滑りさせているだけに、問題点は多い。こうした事態に、岡山で講演された加藤官房副長官は「民間で請け負う動きもあると聞く」とし、中小企業対策のソリューションに言及している(健康産業速報8 月12日号)が、そう簡単なものでもないとの声もある。
 国の研究機関も機能性表示制度をにらみ、研究を進める意向を示すなど動きは出ており、今後こうした研究成果を踏まえ、文献の共有化も進むだろうが、それにしても現時点での課題は多すぎる。本紙ではこれらの問題について『食品と開発』で取り上げているが、本紙でも近々の号で、T T C の山本氏の論文を掲載し、また、秋の読者向けセミナーでも、機能性表示制度について分かりやすい企業の対応策を取り上げる予定である。

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