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難解な機能性表示に、機能性成分は栄養素説も

 「トクホと(機能性表示)の違いはどこにあるのか?」「同等性=同一性ではない、とは?」「SRは出典を記せば使用自由か?」。異例のスピードで制度設計が進んでいる新たな機能性表示に理解が追いつかず、多くの疑問が寄せられている。そもそも、トクホ制度をそのままに、それ以外のサプリメントの制度を積み上げている以上、わかりやすい制度というには幻想がある。こうした間隙をぬい「受講料200万円のセミナーも登場した!」などの怪情報も。消費者庁の取り締まりは、こうした便乗組に向けられるべきだが、何分にもわからないことが多すぎる。トクホとの違いは、そもそもは、企業が企業責任でエビデンスに基づく機能性表示を行える仕組みであったはずだが、それにしては消費者庁の注文や制約が多く、企業責任でと言われても、「お伺いをたてたい」と企業が思うのも無理なことではない。加藤官房副長官も、2015年の制度スタートは第一歩としており、現状に即した改正の余地に言及され、まとめもそのようになっているだが。


 ところで、20日から開かれた日本栄養改善学会での中村丁次氏の講演が面白かった。米国での研究グループの報告として栄養素が、①必須栄養素、②条件付き必須栄養素、③非必須栄養素に分類、紹介されたことを受け、同氏は「②、③が日本で言われる機能性成分で、粋だと思うのは、新たな作用を持った栄養素と定義したこと」とし、「これら①、②、③を含めて、食事や食品に対するDIET QUALITYを高める評価法の研究が始まっていることだ」と指摘している。因みに、②は非必須栄養素が、発達障害、遺伝的疾患あるいは静脈栄養のような病理学などの特別な条件下で必須になる栄養素、③は1 面参照。いずれにしても、機能性成分も栄養素というのは実にわかりやすい、扱いやすいが、全ては栄養士のもとに収れんされる政治的な意味合いさえもある。さてさて、機能性表示問題の難しさは、発展途上の議論だということに、そもそも論が出てくるなど難しさの一端がある。制度は緩やかに、国民の行動変容を促し、健康寿命の延伸につながるようなものであるべきだが。

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