健康産業オンライン

緑茶や柑橘等の農水産物、「機能性表示」で一歩リード

  健康食品企業の大多数が「ガイドライン待ち」の状況にある中、農林水産物の機能性表示が現実味を帯びてきた。農林水産省は先月、「農林水産物と健康に関する研究開発検討会」(座長:日本フードスペシャリスト協会会長・岩元睦夫氏)の第5回会合を開催、緑茶やミカンなどに機能性を表示し、来年度以降の発売・出荷を目指す取り組みが紹介された。 また、大麦、玄米、大豆、タマネギなどの機能性について、ヒト介入試験が進行中であると報告。わが国が誇る農林水産物が機能性表示を伴って店頭に並ぶというビジョンが具体的になってきた。


  来年度に導入される機能性表示食品制度は、農林水産物の機能性表示を認める世界初の制度という側面もある。また昨年6 月の安倍首相スピーチでも、機能性表示の解禁により、農産物の海外展開も視野に入れることに言及している。先月22日の検討会では、新制度の説明が行われたほか、機能性表示に向けた取り組み事例などが紹介された。冒頭、農林水産技術会議の雨宮宏司事務局長は、機能性研究などを進めて、「一定の成果が挙がっている」と評価。機能性表示制度にも対応しながら「研究をまとめていく必
要がある」ことにも言及した。
  検討会では、12年度補正予算(20億円)に基づく「機能性を持つ農林水産物・食品開発プロジェクト」について、責任者を務める農研機構・食品総合研究所所長の大谷敏郎氏が報告。農研機構が中心となり、①機能性を持つ農林水産物やその加工品の開発、②次世代機能性研究、③機能性を持つ農林水産物やその加工品のデータベースの構築及びその加工評価や個人の健康状態に応じた栄養指導システムの開発―― の計18課題が昨年度から始動している。
 ①は、機能性表示制度の検討が始まる前の昨年7 月にスタートしたが、ヒト介入研究は境界域までの人を対象に行っており、患者を除外している。このため有効性が示されれば、新制度にそのまま利用可能という。UMIN登録にも対応来年10月までに研究を終えて、CONSORT声明に基づく論文化を行うとした。②では、高分子ポリフェノール摂取により腸内細菌叢や代謝物に変化があること、セロトニンはトマトの中でも変動があり、高含有品種があることなどを発見。③では研究レビュー結果などについて、データベースを2016年3 月に公開する計画という。

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP