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介護食・2兆円産業に熱い視線 『メディケアフーズ展』、急拡大へ

 2兆円を超える市場創出が期待される介護食品。参入企業が相次いでいるほか、行政による市場の環境整備も始まり、今月には新しい介護食品の愛称として「スマイルケア食」が決まるなど、市場は大きく動き出している。
 来年1月に東京ビッグサイトで開催される介護食品と高齢者食品の専門展示会「メディケアフーズ展2015」には、専業メーカーや大手食品メーカーが勢揃いする。現時点で前回比3割増の約140社が参加。“施設から在宅”への流れをとらえ、給食受託事業者や、ドラッグストアチェーン、百貨店など流通・小売業とのビジネスマッチングも進んでおり、例年以上の盛り上がりが見込まれる。


介護・医療食の大手、専業メーカーが集結
 介護食品市場は、民間シンクタンクの調べによると、平成22年の市場規模は978億円で、10年後の平成33年には1,500億円市場となると予測している。また、農水省食料産業局では、要介護者数などから介護食品のニーズを試算すると約2 兆5,000億円(介護保険制度上の1 日当たりの基準1,380円×365日×要介護者数506万人)としている。潜在的な市場規模も含めると非常にポテンシャルの高い市場である。
 有望市場に対して各企業、活発な活動を展開。ドラッグストアや量販店などでも品ぞろえの充実化を図る動きがみられる。また、沖縄県、香川県などでは医食農が連携し地域食材を活用した介護食品の開発・サービスを手掛けており、地域活性化の起爆剤としても期待されている。来年1 月28日(水)・29日(木)の2 日間、東京ビッグサイトで開催される「メディケアフーズ展2015」には、市場の盛り上がりを背景に多くの有力企業が参加する。同時開催の「統合医療展」「高齢者生活支援サービス展」を合せると270社・300小間を超える見込みだ。
 アスザックフーズ、キッコーマン食品、キッセイ薬品工業、極洋、テルモ、ニチレイフーズ、日清オイリオグループ、日本水産、ニュートリー、ハナマルキ、ホリカフーズ、マルコメ、武蔵野フーズ、ヤクルト本社、理研ビタミン―― など、専業メーカーから食品メーカーまで国内の有力企業が顔をそろえる。味の素冷凍食品、H+Bライフサイエンス、昭和産業グループ、太陽化学、日本食研ホールディングスなど、市場の将来性を見据え初出展企業も目立つ。また、日清医療食品、ワタミ手作りマーチャンダイジング、ニッショクなど業界10社の仕入れ・購買バイヤーと直接商談ができるマッチング企画も。
 会場内は、介護食・咀嚼食、医療食・栄養調整食、給食食材、高齢者向けデザート・スイーツ、宅配食・在宅高齢者食、健康志向食品、厨房・配膳などの商材・サービスがずらりならぶ。介護食品・高齢者食品の開発・製造に活用できる機能性素材や包装資材などが集まる「開発支援」ゾーンも新設した。
セミナー、充実の全24講座
 会期中に行われるセミナーも決定。国際医療福祉大学大学院教授・武藤正樹氏は、「2025年へのロードマップ~地域包括ケアと多職種連携~」と題して講演。医療と介護と生活支援を組み合せた地域包括ケアシステムの概要や構築に向けた多職種連携などについて説明する。キッコーマン総合病院・久保田芳郎氏は、病院食における課題点(食材の味・風味、見た目の美味しさなど)を取り上げ、これから求められる介護食品・高齢者食品について講演する。このほか、「施設でのユニバーサルデザインフード活用法」(日本介護食品協議会)、「地域に広げよう栄養ケアの輪!」(公益社団法人日本栄養士会・工藤美香氏)など、関心度の高いセミナーが揃う。
介護食の新愛称「スマイルケア食」で普及へ
 大きく動き出した介護食品市場。行政も急速な市場拡大に伴い、市場の環境整備に本格着手。11月には新た強い介護食品の愛称と選び方を策定した。①これまで介護食品と呼ばれてきたものの範囲を、噛むこと、飲み込むことが難しい人の食品だけでなく、低栄養の予防につながる食品などにも広げ、②幅広い人が利用でき、かつ親しみやすく、売場でも使いやすいことなどを目的に、介護食品の新たな愛称として「スマイルケア食」とした。また、やわらかさなど7 段階に分けた「新しい介護食品(スマイルケア食)の選び方」を発表。利用者が店頭などで選びやすいようにマークで分類する考えだ。

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