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エビデンスベースドサプリメント

ドクターズサプリ開発、免疫・メタボに標準
医療機関のサプリ販売解禁、新表示追い風に
 昨年8月28日、厚生労働省医政局総務課から医療機関におけるサプリメント等の食品の販売を明確化する事務連絡が通知されて以降、健食業界ではドクターズサプリの開発や医療機関へのサプリ導入を進める動きが活発化している。
 事務連絡は、「患者のために療養の向上を目的に行われるもの」に限定し、医療機関でサプリメント販売が以前から可能であることを示したもの。これまでサプリメントを取り扱う医療機関は、個人開業医や自由診療によるセカンドオピニオン、サプリメント外来を開設するクリニックなどに限られていたのが現状。
 今後、「患者の療養の向上」目的に導入が進むとみられるサプリメントとしては、「免疫サポート」、「抗メタボ」、「抗ロコモ」、「アイケア」、「脳サポート」、「抗ストレス」、「快眠サポート」などが挙げられ、二重盲検試験によるエビデンスや安全性の確保、品質の均一化が成否の鍵を握る。医薬系ルートでの市場拡大が期待されるEBS(Evidence Based Supplement)の動きを追った。


■「患者の療養向上」目的にサプリ
 「8・28事務連絡」は、医療法で定められた医療法人の業務範囲として明確化したもの。国が医療費抑制に舵を切る中、医療機関の収益源の多様化と、患者のニーズに合ったサービスの提供を推進するのが狙いだ。医療法における附随業務で、「病院等の施設内で当該病院等に入院若しくは通院する患者及びその家族を対象として行われる業務又は病院等の職員の福利厚生のために行われる業務であって、医療提供又は療養の向上の一環として行われるもの」と規定している点が法的根拠となっている。
 今月13日には、政府の社会保障制度改革推進本部が「医療保険制度改革」の骨子を決定。2016年度からの患者申し出による新たな保険外併用療養の仕組みとして患者申出療養(仮称)の実施や、個人や保険者の予防・健康増進の取り組みに対するインセンティブの導入などを明記した。これらは昨年6 月24日に閣議決定した「日本再興戦略(改訂2014)」に基づいており、公的負担の軽減、健康産業の活性化と質の高いヘルスケアサービスの提供は医療保険制度改革と連動しながら促進されることになる。
 これまでサプリ販売を行う医療機関は個人開業医や自由診療によるセカンドオピニオン外来、サプリメント外来を開設する医療機関に限られていたが、昨秋以降、ドクターズサプリの商品開発を進める動きが加速しており、医療機関でも「8・28事務連絡」は徐々に浸透しつつある。
■保険薬局もサプリ導入に本腰、医療用卸活用も
 医薬系ルートでサプリメントを展開する事例としては、①医師が処方箋とは別に食事箋などの指示書を発行し、調剤薬局で購入してもらう、②病院内の売店で販売する、③物販を手掛けるメディカル・サービス法人などが仕入れ販売する、④漢方・相談薬局の薬剤師を通じて、健康指導に基づいたカウンセリング重視の販売を行う―― などが挙げられる。医療機関では定価販売およびシンプルな処方とパッケージが基本。流通手段は、メーカーと医療機関との直取引が中心だが、今後、病院、調剤薬局などに医薬品供給を行う中間流通業の医療用医薬品卸や大衆薬卸ルートを通じたサプリ導入の増加が見込まれる。
 厚生労働省の「医療施設動態調査」によると、国内の一般診療所は約10万施設、薬局数は約5 万5,000件に上る。
 抗加齢・美容領域では、産婦人科、皮膚科、内科、心療内科、整形外科、耳鼻咽喉科、歯科などでサプリ導入が進んでおり、ファンケル、サンスター、参天製薬、わかさ生活、ニチモウバイオティックス、ボシュロムジャパン、ユアヘルスケアなど大手メーカーの参入も相次いでいる。臨床現場では、ビタミン・ミネラル、プラセンタ、CoQ10、乳酸菌、カキ肉エキス、大豆イソフラボン、ルテイン、ラクトフェリン、ローヤルゼリーなどの導入実績が高い。がんや生活習慣病に対する補助療法やQOL改善を目的とした臨床現場では、ビタミンC、DHA・EPAなどオメガ3 系脂肪酸、AHCC、米ぬかアラビノキシラン、オリザロース含有食品、プロポリスなどのサプリメントを臨床応用するケースが広まっている。
 昨年4 月に実施された診療報酬や薬価改定、仕入れ原価の上昇などにより、調剤事業の収益性が低下している保険薬局では、物販事業強化の一環として、サプリメントやOTC医薬品の品揃えを進める動きを本格化させている。業界団体の日本保険薬局協会では7 月31日から3 日間、パシフィコ横浜で「第1 回ファーマーシーフェア」を開催する。主催者サイドでは、サプリメントとOTC医薬品で全体の4割の出展を見込む。
■28日から「統合医療展2015」開幕、有力企業が医家向けサプリを出品
 混合診療や統合医療推進の機運が高まる中、厚生労働省では16年度中の患者申し出による「混合診療」解禁を見越し、昨年3 月、ウエブ上に「統合医療情報発信サイト」を立ち上げた。統合医療については、「近代西洋医学を前提として、これに相補(補完)・代替療法や伝統医学等を組み合わせて更にQOL(Quality of Life:生活の質)を向上させる医療であり、医師主導で行うものであって、場合により多職種が協働して行うもの」と定義。補完・代替療法の例として、食事療法、サプリメント、特別用途食品などを挙げた。同サイトでは、「決して個人の責任で実施するさまざまな療法を制限するものではなく、また特定の療法を勧めるものでもない」とした上で、補完・代替医療に関するエビデンスに基づいた情報を紹介している。
 今月28~29日の2 日間、東京ビッグサイトで開かれる「統合医療展2015」では、医薬系ルートで展開するサプリメントメーカーや医療機器メーカー、医療機関、統合医療を推進する医学団体などが集結。同時開催のメディケアフーズ展と併せて会期中、1 万3,000人の来場を見込む。産業界、学術界、政界などが連携し、制度的課題の解決なども含め、今後の統合医療推進の流れを加速する橋渡しとしての役割が期待される。
 サプリメーカーでは、渡辺オイスター研究所社長の渡辺貢氏が、「VEの2.4倍の抗酸化力を有し、脳移行性が認められた抗酸化物質の睡眠改善作用」と題して講演を行うほか、アスコルバイオ研究所が、ビタミンCの欠点である壊れやすさを世界で初めて解消し、安全で安定な高機能ビタミンC(L-アスコルビン酸2 -グルコシド)を出展。このほか、酵素飲料、水素、乳酸菌、ラクトフェリン、カバノアナタケ、ウコン、ミミズなどが出品され、日本ダグラスラボラトリーズ、エンチーム、沖縄長生薬草本社、ユニコ、グロリーイターナショナル、自然免疫応用技研、ドクターセラム、ニチニチ製薬、補完医療製薬、エステプロ・ラボなどの有力企業が顔を揃える。
 サプリメントを医薬系ルートで展開する場合、適正利用や健康被害防止の観点から医薬品との相互作用など安全性に関する的確な情報提供は不可欠となる。今春に導入される食品の新機能性表示制度は、有効性、安全性、品質に関して一定のハードルを設定しており、医薬系ルートへのサプリ導入を進める好機になるとの見方も。2012年5 月に消費者委員会が取りまとめた健康食品の利用実態調査では、健康食品の利用者のうち、通院している人の約8 割が医師などから健康食品の利用状況に関する確認を受けていないことが判明。新制度では健康被害等の情報収集体制の構築も求められており、医療機関との連携強化は市場の健全化を図る上でも不可欠となる。
 日本医師会では2011年3 月から「健康食品安全情報システム」事業を立ち上げ、約16万5,000人の日本医師会に協力を依頼。国民・患者向けのポスターによる注意喚起や、医師会会員限定のウェブ版「健康食品のすべて」ナチュラルメディシン・データベースの無償閲覧などによる安全対策を講じている。

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