マキベリー、カムカムなど、ポストアサイー素材続々
美容意識の高い20代～40代の女性を中心に、ビタミンやポリフェノールを多く含む機能性フルーツが注目を浴びている。特に人気の高いアサイーはもちろん、マキベリー、カムカム、ベルガモット、ローズヒップな
ど、これまで国内流通量が比較的少なかったフルーツへの関心が高まっている。素材加工技術の向上、エビデンスの構築により、健康食品分野への進出が加速している。女性誌やTVで紹介され、より身近な存在となったスーパーフルーツは、今後ますます注目される美容素材となりそうだ。

　アンデス山岳地帯やアマゾン地域は多くの機能性フルーツの原産地。数多くの植物が自生しており、「ハーブの宝庫」とも呼ばれる。南米フルーツの代表格とも言えるアセロラは、ニチレイの展開により認知を高めたほか、最近ではフルッタフルッタがアサイー市場をけん引。美容意識の高い女性を中心に、スーパーフルーツを利用したドリンクやサプリメントだけでなく、スムージーやサラダなど食事に添加できるよう、パウダーやドライフルーツなどの販売も拡大している。
　南米フルーツがより身近な存在となり、“ポストアサイー”の登場が期待されているなか、注目を浴びているのがマキベリー、カムカム、ローズヒップ、ブルーアガベなど。飲料や一般食品はもちろん、健康食品でも採用が進んでおり、テレビや女性誌でも頻繁に取り上げられるようになった。
　なかでも急伸しているのが、チリの寒冷地帯パタゴニア原産のホルトノキ科植物マキの果実・マキベリー。アントシアニンを豊富に含む点が特長で、マキベリー特有の4 種のデルフィニジン配糖は、抗酸化活性が強いことで知られる。オリザ油化、ラティーナ、青葉貿易などが主要サプライヤーで、スーパーフルーツの中でもトップクラスの美容効果を持つほか、LDLの酸化抑制、抗糖尿、高動脈硬化作用、心血管保護作
用など様々な機能性が確認されている。オリザ油化ではドライアイ改善・眼病予防に関する作用など、新たな訴求での市場創出に注力している。
　万能フルーツとして人気急上昇中のカムカムは、ペルーのアマゾン川流域の熱帯雨林に自生するフトモモ科の常緑低木。アミノ酸のバリン・ロイシン・セリンやフラボノイドを多く含む。特に天然ビタミンＣの量は
果実100gあたり約2,000mg以上と豊富で、レモンの約60倍に相当。大手飲料メーカーや外食チェーンなどで採用され、アサイーの対抗馬と目されている。カムカム、アサイー、アセロラなどの南米原料を供給するサンシントレーディングは、昨年、ペルーに新工場を竣工。広大なカムカム委託農園も有し、年間生産数は千トン規模に達する。最新のフリーズドライやスプレードライを設備し、高品質な原料を安定供給できる環境を整えた。
原産国のチリでは“若返りの秘薬”との異名を持つローズヒップには、ビタミンＰが含まれる。ビタミンＰはローズヒップに高含有されているビタミンＣの熱ダメージを保護する相乗効果を発揮する。牛乳の約10倍のカルシウムや鉄、βカロチン、食物繊維、ペクチンを含んでいるのが特長で、美肌・貧血予防などの機能性を有する。ローズヒップポリフェノールを展開する森下仁丹では、新規機能性として果実全体に強い体脂肪低減効果があることを突き止めている。美容やダイエット、アンチエイジングを訴求する新素材として、これらのフルーツ素材への期待は大きい。