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【植物油】アマニ・ココナッツ・エゴマ、新油市場100億円にリーチ

相次ぐ「TV放映」追い風に、植物油市場が急拡大
 アマニ油、エゴマ油、米油、アルガンオイル、ココナッツオイルなど、「植物油」の市場が拡大している。機能性を有する“食べる油”として、一般食品形態からサプリメントまで、裾野が広がっている。日清オイリオグループによると「2014年の(キャノーラ・オリーブ・ゴマを中心とした)家庭用植物市場油は1,150億円。これに、90億円の新油(アマニ・ココナッツ・エゴマ・シソ)市場が加わった。今年4月以降の販売状況を踏まえ、マーケットサイズはさらに拡大することが予想される」としている。
 
 


 植物油の主成分である「脂肪酸」は、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に大別される。「飽和脂肪酸」は、肉類や乳製品、植物ではココナッツオイルに含まれ、エネルギー源の役目を果たす。一方、「不飽和脂肪酸」は、植物油(オリーブ、コーン、ヒマワリ、アマニ、米、ゴマなど)や魚油に多く含まれる。さらに、「不飽和脂肪酸」は、n―3 系脂肪酸、n―6 系脂肪酸、n―9 系脂肪酸(オレイン酸)に分類。α―リノレン酸・DHA・EPAに代表されるn―3 系脂肪酸と、リノール酸に代表されるn―6 系脂肪酸は、“必須脂肪酸”と呼ばれ、体内で生成することが不可能なため、食品から摂取する必要がある。
 
 アマニ油やエゴマ油など、n―3 系脂肪酸を豊富に含む植物油の市場形成が本格化した背景には、2005年の厚労省発表がある。n ―3 系脂肪酸が欠乏傾向にあることが指摘され、「日本人の食事摂取基準」に摂取目標が設定された。加えて、消費者庁が行った「食品の機能性モデル事業」で、「心血管疾患リスク低減」「血中中性脂肪低下作用」「関節リウマチ症状緩和」に対して、n ―3 系脂肪酸は、“機能性について明確で十分な根拠がある”というA評価を受けたことも、市場拡大の下地になった。
 その後、2013年の年末に放映されたNHK「あさイチ」を皮切りに、TV東京「主治医がみつかる診療所」、TV朝日「みんなの家庭の医学」「林修の今でしょ!講座」、フジTV「ノンストップ」など、10番組以上で、アマニを中心とした植物油の特集が組まれたことも手伝い、市場は一気にブレイクした。4 月1 日からは、栄養機能食品の対象成分として、n ―3 系脂肪酸が追加(ヘルスクレーム:皮膚の健康維持を助ける栄養素です)されており、植物油のみならず、魚油、微細藻類由来DHAなど、n―3 系脂肪酸の原料バリエーションも広がっている。すでに各社の製品化は進んでおり、J―オイルミルズと日本製粉では、n ―3 系脂肪酸を配合した栄養機能食品を投入することを発表している。
 日清オイリオグループの調査によると、家庭用植物油の国内市場規模(2014年)は1,150億円に到達。内訳はキャノーラ油が410億円でシェアトップ、以下、オリーブ油320億円、ゴマ油210億円と続く。同社によると、ココナッツ、アマニ、シソ・エゴマの新油市場は、90億円に達しており、「2015年も好調を維持、4 月~ 6 月だけで80億円の売上規模になっている」という。
 新油市場では、トクホの関与成分である「中鎖脂肪酸」を含有する“エイジングケア素材”として、ココナッツオイルが台頭。伊勢丹新宿本店「ビューティアポセカリー」では、ココナッツオイルの2014年売上げは前年比で約5 倍、「ブーム時には欠品が続いたため、1 人3 個の制限をかけたほど。ブーム時は、50代以上の女性客が多く買い求めてきたが、現在は、30~40代女性が主流になっている」という。
 アマニ油は、急激な需要増を受けて、一部では供給タイトな状況が続いており、各社では安定供給体制の構築を急ぐ。フロントランナーである日本製粉では、アマニの事業規模が数年で5 ~ 6 倍に拡大。量販店向けに展開する『アマニ油』は、「春までは品薄状態が続いていたが、徐々に解消しつつあり、店頭への供給が追いつき始めた」という。今年初めに「日清アマニ油」を投入した日清オイリオグループでも、「発売翌月には品薄になり、一時販売休止、6月に入ってから体制が整った」としている。
 日本アマニ協会では、「アマニの国内流通量は、1,000tから7 ~ 8 倍の輸入量になっている」と分析。一方で、粗悪品の流通が懸念されていることから、「認定商品制度の運用・普及を進めていく」方針を打ち出している。

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