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【特集 雑穀】 市場拡大へ好材料続々

 穀市場が賑わいをみせている。近年、穀類の健康機能性が再評価され、健康志向の高まりから食生活を見直す一般消費者が増えたことで雑穀の需要が拡大。最終製品では、従来の炊飯用途に加え、手軽に栄養補給できるシリアルバーなど商品開発が進む。また、オーツ麦や大麦などの穀類を主原料とするグラノーラが朝食市場で勢いをみせるなど、幅広い雑穀アイテムが市場に流通。さらには、穀類はスーパーフードとしても脚光を集め、キヌアなどの単品商材も欠品になるほど。
 こうした需要増を背景に、外食・中食産業でも雑穀メニューが定番化。製菓やパン、麺に配合する原料として業務用での採用事例も増えている。そしてこの7月には、大塚製薬が大麦β-グルカンを関与成分とした機能性表示食品で受理されるなど、雑穀市場で新たな動きが見え始めている。


 近年の雑穀市場に関して、日本雑穀協会によれば、「震災以降は落ち込みをみせたが、ここ数年、消費者の食生活の見直しが進んだことや、これまでの炊飯用途以外にも、パフ加工や焙煎加工の技術が発達したことで一次加工品での提供が可能になり、家庭向けに併せて業務用でものびがみられる」とする。
 
 2009年から2010年にかけてピークを迎え300億円規模にまで成長した雑穀市場だが、震災の影響や、少子高齢化など社会構造の変化にともない炊飯用途での利用が頭打ちとなったことで、市場の落ち込がみられた。ただ、ここ数年、加工技術が進んだことで、これまで課題だった賞味期限の問題がクリアされ、食品加工メーカーなどが採用しやすくなったことで、新たな商品開発が進み、雑穀市場は回復基調に向かっている。
 現在、一般食品への雑穀の採用が進んでおり、その代表格が、大麦やオーツ麦といった穀類を原料とするグラノーラだ。「おいしい、手軽、健康」というキーワードから、健康を意識する女性層や忙しい主婦層を中心に、朝食市場で一気に拡大している。日本スナック・シリアルフーズ協会によれば、2014年のシリアル市場は427億円で、そのうち、グラノーラが245億円と、コーンフレークや玄米フレーク、ブランなどのシリアル商材と比べて圧倒的な売上規模となっている。
 シリアル市場を牽引するカルビーでは、同社ブランド『フルグラ』シリーズが143億円を売り上げ(2014年)、
シリアル市場全体の約30%を占めるヒット商品に。このほか、ケロッグの『フルーツグラノラ』や日清シス
コの『ごろっとグラノーラ』なども売り上げを伸ばす。また、大手メーカーだけでなく、西田精麦といった精麦メーカーなどもオリジナル商品を開発しており、多くの企業がグラノーラ市場に参入し始めている。グラノーラ市場は今後も安定して伸びると予想され、雑穀メーカー各社では原料の採用が進んでいることから、雑穀市場を底上げするのは間違いなさそうだ。
 大麦は穀類の中でも水溶性食物繊維のβ- グルカンが豊富なのが特徴だ。海外では早くから機能性が注目され、血中コレステロールの低減や血糖の上昇抑制、免疫賦活などが報告されている。米国では「コレステロール低減作用があり、心疾患予防効果がある」とし、大麦β- グルカンを一定量含む加工食品に対して健康強調表示を認めている。
 日本でも、一昨年に、日本健康・栄養食品協会が大麦由来β- グルカンの有用性について総合評価を
「B」とした。この4 月から始まった機能性表示食品制度では、先陣を切って大塚製薬が、『大麦生活大麦ごはん』、『大麦生活大麦ごはん和風だし仕立て』の2 アイテムで届出し、7 月に受理されたことを受け、9 月中にも新発売する見込みだ。雑穀のリーディングカンパニーのはくばくでも早くから機能性表示制度への取り組みを始め、大麦β- グルカンを関与成分とした機能性表示食品を届出中で、受理され次第、商品を発売する予定。この他、数社で届出中との情報も入ってきており、雑穀業界でも機能性表示に向けた取り組みが本格化してきた。 機能性表示制度については、「従来の主要チャネルであるスーパー以外にも、ドラッグストアや調剤薬局などでの販路拡大を狙える」との期待を寄せる声も聞こえている。
 現在、雑穀市場をみると、国産素材を扱うプレーヤーが増えてきた。セイシン企業では、昨年から16種の国産雑穀をプレミックスした『国産醗酵焙煎雑穀パウダー』の本格供給を開始。栄養価と汎用性を高めているのが特徴だ。国産雑穀を主原料にPB、OEM供給を展開する種商では、『国産十六穀米』を主力に、昨年モンドセレクション最高金賞を受賞した『マンナン入り国産21穀米』が好評という。岡常商事の『国産五穀ブレンド』は、もち麦、もちあわ、低パフ加工した黒米、赤米、大豆など5 種類をバランスよくブレンド。製菓やパンの素材として採用が進んでいる。
 
 炊飯用途から一般食品への採用、また、外食・中食産業で雑穀メニューが定番化するなど、雑穀の認知度は着実に上がっている。雑穀の普及活動については、つぶつぶでは、同社代表のゆみこ氏の理念のもと、全国的に展開するセミナーや料理教室などを通じて、雑穀料理の魅力を広めている。大麦食品推進協議会は、「大麦食品の普及によって国民の健康増進に寄与すること」を目的に、①大麦に関する商品化促進研究、②大麦に関する情報交換の推進、③大麦の普及・啓発(大麦シンポジウム開催)に取り組む。この他、日本雑穀協会では、「雑穀資格制度」を通じて雑穀に関する知識やスキルを持つ人材の育成を図っている。近年ではスーパーフードとして穀類が注目されるなど、今後も目が離せない市場といえるだろう。

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