東京都は先月11日、「健康食品取扱事業者講習会」を開催し、約840人が参加した。講習会では、食品に関わる食品衛生法、食品表示法、景品表示法などの法律について説明があった後、国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣敬三氏が登壇し、「健康食品を取り巻く最近の状況」をテーマに講演を行った。梅垣氏は、食品表示について、①安全性②製品の品質③健康の保持増進―― に分けられると示し、その中で「食品の“安全性”が一番重要である」と語った。また、国が認可を与える『特別用途食品』の中に、病者用食品を説明し、「病者の治療などを目的に食品を作りたいということであれば、病者用食品の認可をめざし、開発を進めてもらえれば」と説明した。
一方で、病者用食品の認可件数が少ないことに言及し、「一般の人に認知されておらず、広まっていない」との問題点を指摘した。梅垣氏は、健康食品の安全性について、健康被害が起きる要因を「製品の販売前に医薬品や他の製品との併用など、すべてを確認することはできない」ことを挙げた。食品には「全ての人に安全な製品はない」として、「ゼロリスクを求めることは現実的に不可能。病気の人や高齢者、妊産婦、乳児・小児などハイリスクグループによる利用は注意が必要であり、錠剤・カプセル状の製品で安全性の検証データはほとんどない」と示した。
また疾病の治療を目的とする表示は、米国を始めE U や韓国など諸外国でもできないことを説明し、「ビタミンの欠乏などを除き、特定の成分で疾病の予防、治癒はできない」と見解を示した。さらに梅垣氏は食経験の定義について、「どう調理し、だれが、どれだけの量を摂取したか、まで確認しなければ食経験で安全とは言えない」と見解を述べた。
梅垣氏は、健康食品の利用について、「生活習慣の改善につながれば、効果が期待できる」として、食生活の改善を促すよう、“賢い使い方”をすることが重要だと語った上で、健康被害の未然防止・拡大防止に向けて、消費者に健食の使用メモの作成を促すよう求めた。
講演後に都の担当者から、景品表示法の現在の運用状況が説明され、担当者は、「インターネットや広告など2 万4 千から5 千ほどの表示を監視している」と明かし、不当な表示には、都から表示改善の指導を行っていると話した。景表法の不当表示として問題となる「“今なら”○○円」といった表示について、「2ヵ月以内を目安」としているとし、2ヵ月以上延長するなどが見られた場合、調査の対象となることを示した。加えて、「○○後、体重急降下」「世界も認めた!!画期的サプリ・細マッチョへと導く!!」「送信ドリンク1 日1 杯で・・1 日1 kg脂肪が消滅!飲んだら飲んだ分脂肪が何kgでも減量可能」「サプリメント総合ランキング全米No.1を獲得」「正しいダイエットサプリだからこそ成功率97%」など合理的・客観的な根拠を有しておらず、消費者に商品が実際よりも優良なものと誤認させたとして、都は表示の改善を指導したとした。