第8回メディケアフーズ展2016」（併催：「第12回統合医療展2016」、「第2回高齢者生活支援サービス展2016」）が先月26日から2日間、東京ビッグサイトで開かれ、会期中、1万4,000人を超す来場を記録するなど盛況裡に閉幕した。
　メディケアフーズ展では、高齢者食・介護食の潜在市場規模が2.8兆円になると試算される中、新たな国家戦略案で示された「スマイルケア食」活用に向けた取り組みなどが紹介され、管理栄養士や介護・福祉施設の専門家のほか、タイ、ノルウェーなど海外の来場者からも注目を集めた。
　統合医療展の会場には、医家向けに展開する健食メーカーやヘルスチェック機器メーカーなどが一堂に集結。来場者では、国から「かかりつけ薬局」としての機能強化が求められている保険薬局の関係者が例年以上に多く見られた。3つの展示会の開催規模は前回比25％増の300社・360小間に拡大。企画セミナーには約2,900人が参加した。

　今回で8 回目を迎えた「メディケアフーズ展」は、「高齢者に食べる喜びと笑顔を～病院・施設から在宅まで～」をテーマに、介護食、嚥下食、治療食、栄養調整食、給食・業務用食材、高齢者向けデザート・スイーツ、宅配食、健康志向食品などの商材が一堂に集結。森永乳業、ニチレイフーズ、キッコーマン食品、コンビ、昭和産業、日清オイリオグループ、日本水産、マルハニチロ、オリヒロプランデュ、ヤクルト本社、理研ビタミンなど大手食品メーカーや、サン・クロレラ販売、キッセイ薬品工業、岩谷産業、セイシン企業、セィ、林原、ユニテックフーズなどの有力企業が顔を揃え、食べやすさや味、機能性などを付加した高齢者食・介護食をアピールした。来場者では、国内の管理栄養士や薬剤師などの専門家のほか、海外からの来場も目立った。
　出展社からは、「前回よりも各社の商品ラインアップが拡充されており、市場の広がりを感じた」、「管理栄養士・栄養士など期待通りの来場者と商談できた」、「来場者が多く熱気もあった」、「現場で従事する介護従事者の生の声が聞けた。厳しい意見も多く寄せられたが、今後のマーケティングに生かしたい」など2 兆円を超える市場創出が期待される介護食・高齢者食市場の広がりを肌で感じたとする声が数多く聞かれた。
　記念セミナーでは、「ここまで来たおいしい嚥下食と認知症予防」、「新時代の管理栄養士の役割」、「超高齢化社会における介護食品市場とビジネス機会」など4 題が満席となったほか、試食セミナーも事前予約で満席となるなど好評だった。
　「統合医療展」は「治療から予防、健康長寿社会への実現へ」をテーマに、前回より規模を拡大して開かれた。医薬系ルートでの販路拡大を進める健食メーカーのほか、医療機器メーカー、クリニックなどが集結。国から「かかりつけ薬局」としての機能強化が求められている保険薬局関係者など医療従事者の来場が例年以上に多く見られた。サプリメントでは、酵素飲料、クロレラ、カキ肉エキス、アガリクス、α-リポ酸、青汁、乳酸菌、健康茶、アミノ酸、水素水などが出品された。食品以外では、温熱関連機器、水素美容器、酸素カプセル、ヘルスチェック機器などの展示が目立った。
　出展社からは、「医療従事者へのアピールは十分できた」、「病院のほか、エステサロン、福利厚生施設など意外なルートからの引き合いもあるなど全体的にはまずまずの成果」、「取引先となり得る各ディーラーと話ができた」などの声が聞かれた。
　会期中に行われたセミナー会場も多くの聴講者で賑わった。「医療従事者が知っておきたい栄養の知
識」と題して講演した新宿溝口クリニック院長の溝口敦氏は、「日本人には栄養失調はない」という国の考えに対し、異論を唱えた。低アルブミンを特徴とするタンパク不足に伴う「新型栄養失調」はあらゆる年齢層で多く見られ、貧血、脳出血、肺炎、骨折などの患者が増えているとした。
　一方、食事指導による改善事例として、秋田県大仙市で実施した14年間の取り組みを紹介。タンパク質の1 日摂取量を男性60g、女性50gに増やした結果、血中のアルブミン濃度が増加し、新型栄養失調が改善したことを報告した。さらに溝口氏は「新型鉄不足」が女性を中心に広がっていることに言及。「肌荒れ、睡眠障害、うつ、疲労感などのリスクが高まっている」と述べ、「疲れやすい、根気が続かない、うつが治らないなどの症状が続く場合、各臓器の貯蔵鉄の量の指標となるフェリチンが不足している可能性がある」とした。「身体成長と月経が重なる有経女性は食事のみで鉄の必要量を補うのは困難」とし、サプリメント利
用の必要性を訴えた。
　次回は来年1 月25日から2 日間、東京ビッグサイト西3・4 ホールでさらに規模を拡大して開催する。