厚生労働省は先月12日、要指導医薬品にとどまらず健康食品に対する相談対応や助言を行う「健康サポート薬局」の基準を公表した。あわせて示した要綱に基づき、4月以降に研修を開始。この研修を経て、「健康サポート薬局」の登録は10月以降になる見通しだ。薬機法の規制は残るが、各地域で積極的な健康サポートを行う薬局が、健康食品に対する情報発信の場となることも期待されそうだ。
13年 6 月に閣議決定した「日本再興戦略」では、セルフメディケーション推進のための薬局・薬剤師の活用促進を明記。昨年 6 月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2015」では、“かかりつけ薬局”推進のため、薬局全体の改革について検討することが盛り込まれた。
こうした状況を踏まえて厚労省は昨年 6月、「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」を設置。“かかりつけ薬局”の基本機能を備え、健康の維持増進を積極的に支援する薬局を「健康サポート薬局」とし、その機能などについての報告書を昨年 9 月に取りまとめた。
厚労省はこの報告書を受けて先月12日、健康サポート薬局の基準や、研修実施要綱などについて都道府県等に通知。基準では常駐する薬剤師の資質として、一定の実務経験があり、要指導医薬品や健康食品の安全・適正使用に関する助言、健康の保持増進に関する相談などに関する研修を修了する必要があることを盛り込んだ。健康食品の説明を行う場合、国立健康・栄養研究所のホームページ「『健康食品』の安全性・有効性情報」や機能性表示食品の科学的根拠を活用することが推奨されるとした。
この研修を経て、「健康サポート薬局」の届出を10月以降に受け付ける。届出は薬局所在地の都道府県知事に対し行う。受理されれば、要指導医薬品や健康食品等の助言等を積極的に行っている旨を薬局の外側の見えやすい場所に掲示できる。その際、「厚生労働省基準適合」と併記することも可能だ。
研修は実施要綱で示した事項を満たした機関のみに認められる。基本理念、要指導医薬品の概説、認知症対策などのほか、「健康食品、食品」について研修する。健康食品に関しては医薬品との相互作用、適正使用などについて学ぶこととし、達成目標として、地域住民の目線でわかりやすく説明できることとした(表)。
厚労省では健康サポート薬局について、積極的な健康食品の販売を行うものではないとしているが、“いわゆる”付きで扱ってきた健康食品の存在を認め、助言・相談を行う意義は大きい。さらにエビデンスの活用推奨が盛り込まれた機能性表示食品については、消費者に浸透する一助となることも期待される。
(2016年3月2日発行/第1591号) 購読案内へ