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特別用途食品検討会「十分に活用されていない」制度改善へ

 消費者庁は先月 9 日、特別用途食品制度に関する第一回検討会を開催し、栄養強調表示との棲み分けの問題や、消費者にとってわかりやすい表示の在り方などについての議論が始まった。秋を目途に報告書をまとめるが、特に「えん下困難者用食品の区分に応じた許可表示の見直し」および「とろみ調整食品の規格の検討」については、専門のワーキンググループを設置し、詳細な検討を行う。


 消費者庁長官の坂東久美子氏は冒頭挨拶で「平成21年に抜本的な見直しを行ったが、必ずしも現在の状況に対応できていない」と指摘。座長の中村丁次委員(神奈川県立保健福祉大学・学長)も、「食生活や食事療法に注目が集まるなか重要な問題であり、在宅医療を進めるうえでも大きな課題」として、「活用するための仕組みを作る必要がある」と述べた。
 石川広己委員(日本医師会・常任理事)は、「介護施設などで連絡がうまくいかず、再び肺炎などに陥る場合もある」と指摘し、えん下困難者用食品をめぐる現場での混乱を避けるためにも「わかりやすく文言を整理する必要がある」とした。また伊藤善典委員(埼玉県立大学・教授)は、「表示の分かりやすさにも限界があり、専門家のサポートを受けられる仕組み作りが必要では」と指摘した。
 現在、特別用途食品(特定保健用食品を除く)の許可件数は63件。深柄和彦委員(東京大学医学部付属病院・准教授)は、「63件では豊かな食生活は送れない、制度がほとんど活用されていないことが分かる」と指摘し、「制度を作ったとしても、企業にとってのメリットがなくては充実しない。消費者と企業の双方にメリットがあるようにすべき」とした。
 現制度において、とろみ調整食品は病者用食品として個別評価型での対応になるが、病者と健常者との区分がはっきりしていない等の指摘もある。また戸部依子委員(日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会食生活特別委員会・委員長)は、「『固め』といってもその言葉の定義は難しい」として、介助者の判断をめぐる問題にも言及した。藤原英憲委員(日本薬剤師会・常務理事)は、「現場でも問題があるのは事実、専門家にも情報を広げる必要がある」と指摘した。
 特別用途食品(特定保健用食品を除く)には現在、病者用食品や妊産婦・授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳、えん下困難者用食品がある。1947年に創設された歴史のある制度ではあるものの、すべて合わせた許可件数は63(品数としては59)と少なく、制度が十分に生かされていない状況だ。件数の増加だけでなく、表示や活用の在り方そのものも今後の検討課題となっており、介護現場に対する専門家によるサポート体制の充実も望まれる。
 次回の第二回検討会は5月頃に予定されており、ワーキンググループの中間報告なども行われる。10月までに合計 4 回の検討会を開き、秋を目途に報告書を公表する。
 (2016年3月2日発行/第1591号。) 購読案内へ

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