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450億円の米コンブチャ市場、きっかけはロシア人の寝室に

 現在米国で450億円といわれるコンブチャ市場、5年後には1000億円規模に達すると予想する声もあるなかで、そのきっかけがロシア人の寝室にあったことはあまり知られていない。その市場を作った立役者が来日、本紙記者との単独取材に応じた。



 
 米国のコンブチャ市場の火付け役となった「コンブチャワンダードリンク」、その創業者であるスティーブン・リー氏は、日本でもナチュラルティーブランドとして有名なスタッシュティーやタゾティーの共同経営者だった。スタッシュとタゾを売却したのち、いまや日本でも店頭に並ぶ「コンブチャワンダードリンク」を立ち上げ。単純にそのまま飲むだけでなく、ノンアルコールカクテルの割材や食事レシピへの活用でも注目される。実際、リー氏が2014年に発表した著書「コンブチャ・レボリューション」には、スムージーやドレッシング、デザートなどへの幅広いレシピが紹介されており、全米でもベストセラーとなった。
 ただ、リー氏は最初、コンブチャという名前すら知らなかった。日本でかつて「紅茶キノコ」としてブームを巻き起こしたこの不思議な飲み物とリー氏との出会いは、ロシアのサンクト・ペテルブルグにある友人宅へ招待された時だったという。
「その友人が家を案内してくれたわけですが、寝室をのぞかせてもらったとき、不思議な液体の入った瓶を見つけたのです。もちろん、寝室をのぞくことに羞恥心がなかったといえば嘘になりますが(笑)。」
 その友人宅で「マッシュルームティー」の作り方を聞いたリー氏は驚いたという。
「菌を移すことで、飲み物ができていくというメカニズムすら、私にはまったくの発見だったのです。」
 さっそく菌を分けてもらい、米国へ帰国、台所でほそぼそと菌を育てていたところ、一か月ほどして偶然やってきた友人が、「これはコンブチャじゃないか!」と叫んだという。
 なぜその友人が「コンブチャ」と叫んだのか、米国にその存在がすでに知られていた、ということになる。リー氏が調べた限り、2社ほどがコンブチャを作っていたという。
「ただ1社はすでに撤退しましたし、もう1社は非常に小さな規模にすぎませんでした。」
 そのような偶然が重なって、リー氏は2001年、「コンブチャワンダードリンク」を上市、いまや450億円市場にまで成長し、米国では数えきれないほどの銘柄が次々と生まれ、店頭にはコンブチャがところせましと並ぶ。
 コンブチャ市場開拓のリーダーだと思うか、との本紙記者からの質問に対し、「リーダーだとは考えていない。この市場の参加者すべてが力を合わせてきたからこそ今がある。そのなかで自分なりの役割は果たせたと思う。」とあくまで謙虚なリー氏。
 「コンブチャワンダードリンク」は昨年6月から、日本での販売が始まっており、「反応は非常によく、いまのところ日本では競合はいない。」(担当者)という。リー氏は「3年以内に10社ぐらいの競合が日本でも出てくるだろう。」と語るが、すでに日本でもノンアルコールカクテル向けに注目されており、ひそかなブームさえ予感させる。
 ちなみにスタッシュ、タゾでリー氏と共に共同経営者だったのは、スティーブン・スミス氏で、こちらは米ポートランド発の「スミスティー」というブランドを立ち上げている。スミス氏はビジネスとしてではなく、本物を追求する趣味として、このブランドを立ち上げたようだが、ポートランドを訪れた観光客などの口コミで瞬く間に広がってしまったという。
 クラフト関係では横のつながりでいいものが広がっていくというが、日本で「コンブチャ」が「昆布茶」を圧倒する日も近いかもしれない。



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