適格消費者団体「京都消費者契約ネットワーク」( 嶌英弘理事長)が、日本クロレラ療法研究会の折込チラシ内容について景品表示法ならびに消費者契約法に抵触するとして、サン・クロレラ販売(大矢清人社長)に配布差し止めなどを求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(江口とし子裁判長)は先月25日、差し止めを認めた京都地裁判決を取り消し、請求をいずれも棄却した。サン・クロレラ販売側の全面勝訴。同消費者団体は 3 月 2 日に上告した。
「京都消費者契約ネットワーク」は13年10月、日本クロレラ療法研究会が日刊紙に折り込んだチラシの差止請求書をサン・クロレラ販売に送付。翌年 1 月、京都地裁に差止請求訴訟を提起した。チラシには商品名は記されていなかったが、京都地裁は15年 1 月、「京都消費者契約ネットワーク」の主張を認める判決を出したことから、同社が控訴していた。
控訴審判決では、クロレラ療法研究会の活動内容などを詳細に示した上で、15年 1 月以降、対象のチラシ配布を一切行っていないことが認められるなどとして、「差止の必要性があるとは言えない」と判断した。景表法の優良誤認にはあたらず、かつ同社が「優良誤認表示を行うおそれがあるとは認められない」としている。
薬事法(薬機法)との関連については、「効能効果があるとの表示があるからといって、消費者に当該商品を医薬品と誤認させるとは言い難い」とし、医薬品と同等と解釈される広告であれば薬事法上の問題であるとし、全体として極めて丁寧な検証が行われた。
もう一つの争点である消費者契約法との関連では、同消費者団体が「チラシは勧誘に当たる」旨を主張。しかし規制対象となる「勧誘」には、不特定多数の消費者に向けた働きかけは含まれず、「勧誘に含まれないと解するのが相当」とした。
この観点から当該チラシをみると、新聞購読者に向けたもので特定の消費者に働きかけたものではなく、判決では「勧誘に当たるとは認められない」とした。
結論として、「京都消費者契約ネットワーク」の請求は「いずれも理由がない」として棄却した。
全国に14ある適格消費者団体(内閣総理大臣が認定)は、消費者の利益擁護の名目で「差止請求権」を行使できる団体。今回敗訴した団体以外にも、これまでに健康食品の広告で企業に差し止めを求めたケースがあり、今回の判決が及ぼす影響が注目される。
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