農林水産省は先月29日、介護食品のJAS規格制定に関する農林物資規格調査会部会を開催し、「JAS規格及び認定の技術的基準の概要(案)」を提示。規格草案をもとに、格付や表示に関する議論がなされた。
部会冒頭、同省食料産業局・食品製造課長の神井弘之氏があいさつに立ち、介護食品の供給拡大は、利用者の生活の質の向上と食品産業の裾野拡大に重要であることから「利用者が分かりやすく、製造者の過度の負担にならないよう」JAS規格制定を進めたい、とした。JAS規格の対象とする介護食品の範囲として、同省は「かむことに問題がある人向けの食品」と定義。「飲み込むことに問題がある人向けの食品」(えん下困難者用食品)は、任意のJAS制度に置き換えることで食品事故発生リスクを高める恐れがあるとし、えん下困難者向け食品は健康増進法に定める特別用途表示許可制度にゆだねるとした。
同省からは、既存の民間規格をベースとした「基準概要(案)」(表)が提示され、基準項目として「弱い力でかめる」「歯ぐきでつぶせる」などの 4 区分の固さのほか、凝集性や付着性、離水の程度を設ける旨の提案がなされた。官能評価に関しては「歯がある人が『歯ぐきでつぶせる』といった評価は困難だ」などとする指摘もあり、評価員の資格設定についても議論が交わされた。このほか「かまなくてよい」と表示することで利用者の限定や咀嚼意欲低下などにつながる、あるいは「歯ぐきでつぶせる」といった表現は離乳食と誤認される可能性があるとの指摘も。スマイルケア食の普及・啓蒙活動の推進も不可欠だとの声も上がった。
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