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【主張】今年お勧めの一冊、「加工食品には秘密がある」

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 フォーチュン、ニューヨークタイムスなどに記事を書いているメラニーさんの「加工食品には秘密がある」(草思社、メラニーウォーナー著)が面白い。マクドナルド上場のタイミングで出された「ファストフードが世界を食い尽くす」(草思社、エリックシュローサ著)を読まれていれば、なんとなく延長線上にある本と理解できる。著書を開くと、いきなりホールフーズマーケットやGNC、またIFT、ナチュラルエキスポなどの米国健康食品市場の「専門用語」が飛び出してくる。


 加工食品の進化の歴史、昔の毒性試験の実際、食の安全についてのFDAの対応などから、食品科学で産業界と太いパイプを持つパデュー大学やそこでの化学者の役割など、食品産業の大づかみの変遷が見えてくる。専門家には知られている話なのだろうが、シリアルやプロセスチーズなどの加工食品の誕生秘話も興味深い。加工の過程で、有用なバクテリアや各種のビタミンの欠落などその対策なども見えてくるし、食品加工の先端技術にかかわる素材、添加物メーカーの名前も出てくるので、知らないよりは、知っていたほうがよいという点も。
 「純正食品」という項目では、我国でもこうしたテーマを掲げつつ活動をする全健協や綜合医学会、自然食品のグループなどにはバイブルにもなる一冊である。店頭で販売すれば、顧客が増えそうな著書である。
 文中の「全体は部分の総和に勝るのでは」(ニューハウザー)は、細谷憲政氏が、機能性成分の取り出しの議論で示されていた図を思い出す。ホールフーズやナチュラルフーズの優位性を支える主張であり、機能性食品の議論にも一石を投じる。ビタミンなどで「合成と天然は同等なのか」という項目も興味深く著書の時点では同等性のデータではないとしていて、機能表示との関連で注目したい。
 米国に比べ、オーガニックや自然食品の成長が遅れる日本。その背景には、医療保険制度の違いが大きいが、ジャーナリストや消費者団体の水準の低さがある。機能性表示の議論も含め、旺盛で質の高い議論が、米国市場の躍進の要因だったと感じられる一冊だ。





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