機能性表示食品の定番剤型
カプセル剤形の存在感が増している。機能性表示食品届出で受理された製品の半数近くを占め、インバウンド需要では、人気の酵素関連製品でスムージーに次ぐ剤形として選択され、ココナッツオイルやアマニ、エゴマオイルなどの市場拡大にも貢献。「プロバイオティクス製品に適した耐酸性」「他剤形で困難な液体物の充填」といった幅広いアプリケーションが揃っており、ハラル対応や一般食、化粧品、介護関連など幅広い用途で新たな活用が見られる。
機能性表示制度で存在感
カプセル剤形が拡大基調にある。カプセルメーカー各社によると、「機能性表示制度を背景に問い合わせが増えている」との声が多い。カプセルは、味・臭いで刺激の強いものをそのまま食べられる利便性や取り扱いやすさなどから、成分の特性に合わせてハードカプセルやソフトカプセルだけでなく、シームレスカプセル、ナノカプセル、フレーバーカプセルなどさまざまなラインアップが使用される。これらは、“耐酸性”、“酸溶解遅延”といった機能が付加され、酵素や乳酸菌など話題の素材の商品開発をサポート。素材の機能性を飛躍的にアップさせるさまざまなアプリケーションを背景に、機能性表示食品で受理された製品の半数近くをカプセル剤形が占める。「製造時に充填物への負荷が少なく、安定した崩壊性を有することなどから、今後は特に圧力により失活しやすい素材や、錠剤化により溶出性、吸湿性の確保が難しい素材について、機能性表示食品での利用が加速するのでは」(ハードカプセルメーカー)との声や、「特許技術など独自の製剤技術が採用増加に寄与している」(ソフトカプセルメーカー)などの声もあり、着実に存在感が高まってきている。
売れ筋素材を効果的にアシスト
もともと医薬品の剤形から食品用途へと利用が進んできたカプセルは、賦型剤を入れずに素材をカプセルに入れて商品化でき、液体も充填可能であるなど、素材の特性や機能性に合わせて、その良さを最大限に引き出す点が特徴だ。市場では、ウシやブタ由来の皮膜を主流としていたゼラチンカプセルに魚由来が登場し、平成19年には、使用基準の改正で一般食品に使用可能となった植物由来セルロースHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセルがナチュラル志向を受けて急増。昨年から今年にかけてのインバウンド需要では、人気の酵素関連製品の商品開発において、スムージーに次ぐ剤形として選択されるケースが相次ぎ、乳酸菌や納豆菌など生菌関連製品においても、腸内環境の改善を訴求するメーカー各社がカプセルの持つさまざまなアプリケーションに高い期待を寄せている。このほか、オメガ3系オイルをはじめ、エゴマやアマニ、ココナッツといった話題の機能性オイル系素材も、液体のまま充填可能な剤形として、カプセル製品が多く流通するなど、業界で売れ筋商品の多くにカプセル製品がランクインしている。
さらなる技術革新進む
カプセル市場では、さまざまな新技術・新製品上市に加え、特許技術やハラル対応、一般食品への応用など技術革新が進んでいる。
カプスゲル・ジャパン㈱のラインアップのひとつ『DRcaps』は、腸へのデリバリーの可能性を追求して開発したカプセル。ヒト試験で崩壊特性も確認済みで、話題のプロバイオティクス製品などの胃酸に弱い製品に適しているとして提案を強化。
クオリカプス㈱では、カプセル表面にUVレーザを照射し、含有の酸化チタンをグレーに変色させる印刷技術「UVレーザ印刷」の提案も。カプセルデザインの自由度が増し、他製品との差別化に繋がるとしている。
㈱ソーフンジャパンは、昨年上市した腸で溶解する耐酸性カプセル『EMBO CAPS®-AP』の提案を強化。また、ハラル認証カプセルもラインアップ、「引き合いは好調」という。
中日本カプセル㈱は、特許取得済みで差別化に強い『Cカプセル』や『ISカプセル』などの採用が相次ぎ、2ケタ成長で推移。機能性表示食品の開発・受託製造にも対応し、品目数の拡大を見込む。
三生医薬㈱は、植物性ソフトカプセルで 3 つの特許を取得。『フレーバーカプセル』(特許取得)は、食品へのフレーバー添加、デコレーション等に応用可能。腸溶性シームレスカプセル『E-カプセルクリア(ノンコート)』や『崩壊遅延防止ソフトカプセル』なども提案。
健康食品の総合受託最大手のアピ㈱は、さまざまな剤形を揃え、ハードカプセルおよびソフトカプセルの受託製造に対応。池田工場を中心に製剤化を行うほか、昨秋竣工した「揖斐川ネクストステージ工場」でもソフトカプセル充填機を導入、カプセル製剤の安定供給体制を強化している。受託製造企業でありながら、独立した研究機関(長良川リサーチセンター)を完備することで、成分分析・機能性評価・安全性評価に対応可能な点も強みだ。
東洋カプセル㈱は、製剤研究で昨年「アゼラスチン塩酸塩含有カプセル剤」や「カンデサルタンシレキセチルのカプセル充填用組成物」の特許を取得。機能性表示食品制度への要望も積極的に応じる。
富士カプセル㈱は、グミの食感に仕上げたカプセル技術を開発し、噛めるカプセル「口腔内放出カプセル」として提案。噛む力が比較的弱いこどもや高齢者、ペットなどにも適しており、食品向けはもちろん、医薬品グレードの製造も可能。
㈱金秀バイオは、独立行政法人・産業技術総合研究所との共同研究で開発した「食品素材のナノカプセル化技術」を活用し、素材開発・OEM供給を推進。「消化液に対する耐性の付与」「対象物の血中濃度上昇」「苦味・渋みのマスキング効果」「食品成分の生理機能向上」に関するバックデータを蓄積済み。
アリメント工業㈱では、米粒とほぼ同じ大きさの「極(きわみ)カプセル」の開発に成功。錠剤やハードカプセルなど他の剤型への配合用途だけでなく、菓子やアイスなどの一般食品にもプラスできる。約10年の開発期間を経て実用化、特許も出願中だ。
(詳しくは4/6発行・第1593号で)
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