統合医療

医療用サプリ 「単一成分・単一効果」の現機能性表示にそぐわず

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 医療向けサプリで広く普及する乳酸菌。サプリメントの活用を進める医師らは、「マルチビタミンやミネラルなど、ほかのサプリに移行する前段階として、腸内環境の改善は必須」と語る。100年以上にわたって「乳酸菌」に取り組むビーアンドエス・コーポレーションで、医療向けの提案を進める医療関連営業部課長の米倉圭介氏は、「腸内環境は多種多様な菌からなっている」として、プロバイオティクスでもプレバイオティクスでもないバイオジェニックス『乳酸菌生成エキス』の仕組みは「複合的」と語る。


―機能性表示制度の見直しでも「複合成分」は議論になっているが?
 多様性に富み環境要因が複雑である腸内細菌叢をターゲットとした乳酸菌サプリメントでは、「単一成分・単一効果」を基本とした機能性表示では、本質的にはそぐわないと考えている。
 
 そもそも腸内環境は、約1000種類におよぶ多種多様な菌から成り立っており、細菌叢全体として動かすためには、どうしても複合的な作用が必要。「こうすれば、こうなる」という一つのスイッチから成り立つ世界ではなく、その過程にはいくつもの環境要因がかかわっていると考えられる。
―もう少しわかりやすく言えば?
 例えばiPS細胞を増殖・分化させていくにも、なにか一つのスイッチだけで、すぐに肝臓になったり、心臓になったりすることはないと思う。肝臓なり、心臓なりに変化していく過程には、複雑な無数のスイッチがあると考えられるし、そのおかげで、手の平に心臓ができることもない。
 つまり、腸内細菌叢においても、一つのスイッチで細菌叢すべてが良いほうに動くというようなものではないし、その複合的な過程は、フローチャートのように単純に矢印で示せるようなものでもない。
―医薬品の世界とは大きく違うということか?
 そうですね。腸内細菌叢は、一種の自然生態系と考えることができます。個々人の腸の中に、固有の自然生態系が存在し、多種多様な種間同士で複雑かつ繊細な関係性を構築しているものです。その生態系をコントロールすることは、簡単なことではない。
―医師向けサプリの営業と医薬品MRとの違いは?
 サプリメントを治療に取り入れる医師は、たとえ保険外でも「治したいという強い思い」の延長線上にサプリ導入がある方が多い。また、患者さんニーズも、健康維持や美容目的から、難病治療まで幅広く、患者さんの多様な価値観と向き合う必要がある。だから、医療向けサプリの営業では、患者さんとドクターの両方の価値観とも向き合う姿勢が求められる。医薬品MRの営業よりもマニュアル化できない部分が大きい。そういう意味でも、販促活動において現段階の機能性表示は、実質的な意味がないことが多い。
 サプリの種類によって営業スタンスは違うかもしれないが、細菌の世界というのは、人間の世界よりもずっと長い歴史を持っており、我々もいままで積み上げてきた技術なり、やり方を大切に守っていくことが重要だと考えている。効率化ということからは少し離れた世界かもしれない。

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