学級崩壊が社会にまで波及しているのか、そんな声が寄せられたのが、4日の検討会の結末だ。本紙でも一面に予定していたが、あまりにお粗末な内容でボツになり、お伝えできないので、ここで問題点について触れておく。
復習であるが、消費者庁は機能性表示制度を昨年4月にスタートさせ、制度上の積み残しとなった2項目(ビタミン類、複合的で関与成分が不明確な素材)について、今年1月に検討会を開始した。食品表示法も3条の基本理念で「消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、必要な情報が提供されるー」とし、「薬事法逃れの曖昧表示」から「食品表示法に基づく情報の開示」へ舵が切られたわけだ。
こうして進められてきた検討会は4日、9回目で最終段階にあった。この日、関与成分が不明確なものの扱いで、「エキスまたは分泌物」を切り出し、業界の事前チェックなどを前提に整備する案が合田委員から提案され、寺本座長も同意、業界側も基本理念を尊重する上で異論は挟まなかった。
大筋でまとまると見えたところで、佐々木敏委員が「(定義が難しいので)扱うのは時期尚早、認めるべきではない」と発言、すべてをひっくり返す事態に。「定義が難しいので積み残しとなった」わけで、今更「定義が難しい」では話は進まない。批判だけで対案もなければ委員会は機能しない。「これまで通り、内容も示さず、わからないままで、消費者に取り続けることを進めるのか」、傍聴した人々からは、「議論に加わる資格がないのでは」「(前回までに概念の説明があり)最初にいえばいいのではないか」などの批判が相次いでいる。
検討会は予備の次回18日で最終回を迎える。ビタミンなどについても、梅垣委員の主張への疑義については、ここで触れた。ビタミン、ミネラルがそもそも足りているのか?深刻な欠乏があるのではないか。また、制度上の問題(栄養機能食品)と消費者への商品情報提供は別であり、これまた情報開示の上でも推進すべき話であると。
かくして、検討会は食品表示法の理念、会の目的、議論する側の基本的な理解のない人々により、迷走を続けている。1年近い議論が迷走のまま学級崩壊の形で終了するのか、しっかりと法令遵守と情報開示の方向で進むのか、座長の力量が問われるところだ。
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