厚生労働省は昨年11月、「平成27年国民健康栄養調査」の結果を発表。これにより、日本人のビタミン・ミネラル充足率の低さが再認識されることになった。中でもカルシウムの充足率は、各年代で推奨量の6~8割程度で慢性的な摂取不足を露呈。若い世代の栄養バランスの偏りもさることながら、40・50代のカルシウム摂取量が過去20年間で100mg以上減少している実態もわかった。調査結果によりミネラル補給は、日常の食品だけではまかなえないことがあらためて裏付けられた。問題解決のカギを握る食品向けのミネラル市場の現状を追った。
新制度見直しには失望の声
ミネラル欠乏はロコモティブシンドロームに加え、生活習慣病の原因となることからも国主導での 対 策 が 求 め ら れ て いる。これについては、機能性表示食品制度の見直しが注目されていたが、ビタミン・ミネラルの扱いについては対象成分に盛り込まれることはなかった。
検討会では過剰摂取を指摘する委員の声が根強く、最後まで押し切られた格好に。消費者の知る権利が奪われる形になった。ビタミン・ミネラル関連のメーカーでは「議論の風向きが業界側(の要望)と逆方向になった段階で、機能性表示食品制度への期待を失った」や、「過剰摂取の事例が日本人の実態に合致していないと思う」などの失望の声が寄せられた。
炭酸Caとステアリン酸Mgの使用制限改正へ
食品添加物の炭酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムの規格基準が改正の方向で議論されている。両成分とも食品安全委員会や薬事・食品衛生審議会などで健康影響などが評価された。炭酸カルシウムはわが国では昭和32年に指定された食品添加物で、石灰石が由来。パン、みそ、菓子、納豆などのカ
ルシウム強化剤として用いられるほか、醸造用水の硬度剤、酒の脱酸剤、あめの中和剤、菜類漬物に食塩に混ぜて使用されている。コーデックス一般規格ならびに欧米でも必要量を食品に使用することが認められている。米国ではGRAS物質としても許可されており、安全性も折り紙つきだ。一方、わが国ではカルシウムとして……
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