腸内フローラの改善に国民の多くが関心を寄せている。民間の調査会社が行った消費者調査では9割以上が何らかのかたちで乳酸菌やビフィズス菌を摂取した経験があり、「腸内フローラの改善には、乳酸菌・ビフィズス菌が有効」という認識が広まっている。大手食品メーカーを中心に、独自菌株の乳酸菌やビフィズス菌の有効性を打ち出したプロモーションも活発化しており、機能性表示食品も販売数を押し上げている。また、殺菌乳乳酸菌の流通が拡大したことで、ポップコーンやカップ麺、ドレッシングやパン、外食チェーンの味噌汁など、日常的に口にする食品にも採用が拡大するなど、乳酸菌マーケットは拡大の一途を遂げている。
機能面では、整腸作用や便通改善作用のほかに、抗アレルギーなどの免疫賦活作用、抗肥満作用、口腔環境改善、胃に対する機能性、女性の膣炎予防など、実に多様なテーマの研究成果が発表されており、従来の「単に乳酸菌を摂取する」というステージから一歩進んだ「どの乳酸菌を選ぶか」という選択の時代に入った。
“機能性ヨーグルト”がけん引
ヨーグルト市場4,000億円規模に
『明治プロビオヨーグルトR-1』の登場により、“機能性ヨーグルト”のカテゴリーが定着。乳業各社が独自の菌株をブランド化し、機能性に特化したプロモーションや、売場作りの強化により売上を伸ばしている。明治の『R-1』では、2012年以降、毎年2桁伸長と大幅な売上増となっており、2015年度の売上は前年対比で122%を記録。同社の『LG21』を含めたプロビオヨーグルトシリーズの売上は1,000億円を超える。明治のけん引により、ヨーグルト全体の市場も堅調な伸びをみせており、2015年度で3,880億円とし、4,000億円規模に膨れ上がっている。
ヨーグルト市場が好調な背景には、消費者の健康志向の高まりに加え、従来の「整腸や便通改善」といった訴求のほかに、インフルエンザ予防、花粉症改善、骨密度強化、尿酸値の低下、内臓脂肪蓄積抑制など、多岐にわたるテーマの有用性が打ち出されていることが挙げられる。
また、機能性表示食品の登場も勢いを加速させた。ガセリ菌SP株を関与成分として、「内臓脂肪の低減」をテーマに機能性表示食品を販売する雪印メグミルクは、新たな顧客の開拓に成功し、新制度利用前と比較し、ヨーグルトやドリンクなどのシリーズ品の売上が約8倍に。スーパーマーケットなどでの店頭では、「ポップや店頭告知など、販促ツールが充実しているため売りやすい」とし、機能性表示制度利用の戦略が決まった格好となっている。
カップ麺やポップコーンに配合
殺菌乳酸菌の普及で広がる商品バリエーション
殺菌乳酸菌はその名の通り乳酸菌を加熱殺菌処理し原料化したもので、殺菌処理を行うことで乳酸菌の品質が一定になり原料の安定化が図れるほか、製造面でもコンタミのリスクは生菌乳酸菌に比べ圧倒的に低いというメリットがある。配合する食品の剤型を問わず、あらゆる製品に応用が可能になる点が最大の特長。一昨年に乳業大手の森永乳業がシールド乳酸菌M- 1 の原料供給をはじめると、採用するメーカーも増加。従来からのサプライヤーも含め、殺菌乳酸菌原料の供給量が右肩上がりになっている。
直近では、明星食品が「明星 いまどき菌活(きんかつ)らーめん ヨーグルトトマト味」を発売。スナックタイプの麺と、ヨーグルトで仕上げたトマトスープを組み合わせ、麺とスープに200億個の乳酸菌を配合した。また、ジャパンフリトレーでは、「マイクポップコーン ヨーグルト味(シールド乳酸菌® M- 1 入り)」を期間限定で発売。さらに牛丼店「吉野家」を運営する吉野家ホールディングスは、豚汁を刷新。シールド乳酸菌を 1 杯あたり100億個加え、機能性付加価値を高めた。数年殺菌乳酸菌へのニーズはここ数年急増しており、こうした動きが今後活発化していくとみられている。
複数の乳酸菌やビフィズス菌を配合した
生産物質にも脚光
乳酸菌ニーズ高まりを受けて乳酸菌生産物質にも大きな関心が寄せられている。乳酸菌生産物質は、乳酸菌の代謝過程で作り出す有用成分を指し、腸内細菌のバランスを正常に保持し免疫等に関与してヒトの健康を維持するために重要な成分として認知が広がっている。腸内フロー・・・
(詳しくは2/1発行・第1613号で)
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