米国の食品表示では来年からビタミンDが義務化される。欧米各国ではVDに注目が高まる中、日本ではその不足が広がっている。ポピュレーションデータの解析を進めている東京大学医学部付属病院医師の伊藤明子氏にVDを取り巻く状況についてお話を伺った。
―― VD不足について、日本人の全国的なデータはあるか?
日本人のVD不足についてはいままで、施設ベースや地域ベースの研究しかなかったが、現在ポピュレーションデータを使った解析を進めている。昨年の日本内分泌学会で発表した通り、0 歳から15歳までのVD欠乏性くる病はここ10年(2005年~2014年)で約10倍増加している。16歳から74歳の骨軟化症も解析中であるが、VDは全体的に足りていない状況だ(近く解析結果を発表予定)。ポピュレーションデータの解析では病院のレセプトデータを利用している。つまり確定診断を受けた人の数だけでもそれだけの増加があり、VDが不足している人は実際にはもっと多いはずだ。
―― 小児科では子供のVD不足をよく見かけると聞くが?
子供の場合、離乳食開始時期の遅れが一因だ。かつて卵などのアレルギーを避けるために、離乳食を遅らせたほうがいいという考え方があった。しかし現在ではむしろ、生後5か月ぐらいから経口摂取させたほうがよいとされており、母親にもそのように勧めている。魚については海洋汚染を懸念する母親も多いが、卵や魚にはVDが豊富に含まれている。DHAやEPAが脳の神経細胞強化に必要なのは明らかであり、2 歳児では摂取している子供としていない子供でIQにも大きな差が示されたという研究報告もある。
―― VDは脂溶性なので、過剰摂取を心配する声もあるが?
国民栄養調査などでも一見足りているように見えるが、臨床上の観察のみならず、研究の報告やデータ解析などでは、実は足りていないといえる。そもそも日本の摂取基準は非常にコンサーバティブにできている。もちろん病気にならないぎりぎりのラインを知ることは非常に重要だ。しかし、欧米などでは「欠乏(insufficient)」「十分(sufficient)」「最適(optimum)」といった段階分けがされている。ただ、・・・
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