残留農薬検査ではGAPに期待高まる
競争が激化する食品分析市場。大きく分けて、栄養成分、機能性成分などの「有用物」を分析する領域と、残留農薬や重金属などの「有害物」を分析する領域の2つに分けられる。有用物領域では一昨年から依然として依頼が好調。対応する検査員一人一人がこなせる仕事量には限りがあるため、分析の現場は多忙を極めている。一方、有害物領域では、残留農薬、放射線物質など分析単価が下落傾向にあり、利益分が押し下げられている。政府も推進する「GAP認証」では年に1度の残留農薬検査が義務付けられており、分析機関からは需要増への期待も大きい。
多忙を極める機能成分分析市場
機能性表示食品制度の影響を受け、分析機関には機能性関与成分の分析依頼が多く寄せられている。ただ分析機関においては、「入社 1 年目の検査員とベテランの検査員、こなせる仕事量に大きな差はない」ため、急激な需要増を背景に現場では多忙を極めている。大手分析機関でも“至急の対応が難しい状況”であるなど、納期に間に合わせることで精一杯というところも多い。
しかし分析市場は受注をコントロールできない市場でもある。依頼が集中することもあれば、分散することもある。そ・・・
GAP認証で残留農薬市場に弾みか
福島第一原子力発電所の事故を受け依頼数が増加した放射線物質の検査は、ここにきて減少傾向にある。検査単価の下落も合わせて、各社の利益を押し下げる要因となっている。価格の下落では残留農薬も同様で、「中国での事件などが報道されると一気に増え、事件が忘れられると一気に冷める」こともあり、安定した顧客の確保が重要だ。
需要増につながる動きとして、政府も推進する「GAP認証」がある。認証では年に1度の残留農薬検査が義務付けられているためだ。GAPとは、農場の生産工程管理のことで、EUを中心とする“GLOBALGAP”(EU諸国への輸出等に求められる)や日本の“JGAP”などがある。五輪での食材供給でも条件となっているため一般メディアでも取り上げられる機会が・・・