サミ・サビンサグループは1988年に設立した世界で1,400人の従業員を抱える企業体で、健食素材、化粧品素材、香料などを製造販売している。アーユルヴェーダの理念に基づいた植物抽出物や天然原材料などを展開。クルクミン市場では世界の7割のシェアを占有する。最近では傘下にサミダイレクトというMLM企業を設立し、インド国内を含め30万人の会員組織に成長、今後はインドネシア、フィリピン、ベトナム、ドバイなどへの展開をはかる。インド生産拠点に訪問し、現状をリポートする。
サミ・サビンサグループは、自他ともに認める研究開発型企業。インドのDSIRも評価したR&D能力の高さは折り紙付きだ。高い機能性と物性、利便性などに考慮した製品の開発能力に加え、世界基準に対応する高水準の品質管理を行っているのも特徴。知財戦略にも定評があり、全世界で約140の特許を取得し、ほかに約150の特許を出願している。一次原料となる植物も自社および契約栽培を実施しており、直接現地で状況を確認することで目の行き届いた管理ができる点も信頼の裏付けとなっている。インドのバンガロール近郊にある同社の 4 ヵ所の生産拠点は、24時間 3 交代制で365日稼働。最初に訪れたネラマンガラ工場には68人が勤務する。同工場は2011年と16年にUS FDAインスペクションを受けているほかUSPにも準拠。CFRの手順に則った製造を行っている。そこで手掛けられる乳酸菌『ラクトスポア』は菌培養から攪拌、スプレードライまでの工程を一貫で行う。仕上がった製品は分析ルームで規格値と照合し、安全性試験などを実施した上で出荷する。同工場では『ラクトスポア』に関する世界の全需要に対応している。
SCFE工場では超臨界抽出法によりショウガエキスなどを製造している。抽出棟の裏手に設置されたタンクから送出された原料に二酸化炭素を注入し、SCFE高圧機により加工。得られた加工原料は各タンクに振り分けられる。一度に200L× 4バッヂを製造することができる。コントロールルームでは気圧制御や、工程をモニタリング。担当者は超臨界抽出のメリットについて「 1 ラインで全工程を終えることができる」と話す。階上には品質をチェックする「QC Lab」を設置し、HPLCなどの分析装置により一般生菌や品質チェックを行った後に出荷。ほかにも全品目でICP-OESによる一次原料の重金属検査や、マイクロバイオロジー部門でHPLCによる素材の生体内効果に関する検証などを実施。記録は秒単位までトレース可能だ。植物エキス抽出拠点のクニガル工場は、サミ・サビンサグループの最大の生産拠点。96年に開業し、総勢300人が勤務。8 エイカーの敷地面積を誇る。ボイラー設備や工程を熟知している自前のエンジニアを抱えており、品質向上や迅速対応をサポート。同工場では多くの製品を開発。担当者は「日本の品質要求は高いが、当社は厳しい基準に則って対応している」と胸を張る。