知的財産高等裁判所(知財高裁)は先月8日、伊藤園vsカゴメの裁判について判決を下し、トマトジュースに関する伊藤園の特許が取り消された。トマトジュースをめぐってはすでに伊藤園とカゴメの間で水面下の争いがあったが、今回ついに表沙汰になった。伊藤園の知財戦略については判定請求を多用するなど、一部から不満も上がる。
裁判で争われた伊藤園の特許は、「濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘味がありかつトマトの酸味が抑制された、新規なトマト含有飲料及びその製造方法、並びに、トマト含有飲料の酸味抑制方法」というもの。伊藤園はこの製法により『理想のトマト』という商品を販売している。一方のカゴメは同様の製法を用いた『カゴメトマト100%』を2013年に発売し、翌年に販売を終了。カゴメは特許庁に対して伊藤園特許の無効審判請求をしたが認められず、今回の裁判となった。
伊藤園の特許では、「糖度が9.4~10.0であり、糖酸比が19.0~30.0であり、グルタミン酸及びアスパラギン酸の含有量の合計が、0.36~0.42重量%であることを特徴とする、トマト含有飲料」とある。これは各指標について一定の範囲内で幅を持たせる「パラメータ特許」という手法だ。各指標が上記の範囲内であれば、「濃厚な味わいでフルーツトマトのような甘味」が実現でき、かつ「トマトの酸味が抑制できる」というロジックだ。
続きは紙面(2017年7月5日発行)で → 購読はコチラ