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【夏季特別号】「健康寿命延伸」「生涯現役社会」 健康食品の果たす役割は?

2017年上半期総括と下半期展望

「機能性表示」、4割に摂取意向あり 潜在需要を取り込み市場拡大なるか

経済産業省の江崎禎英氏が各地で行っている生涯現役社会に関する講演。65歳からの“2周目の人生”に言及するなど前向きな内容で、傍聴した健康食品企業に感想を聞くと「勇気をもらった」「何回聞いても興味深い」と絶賛の声が挙がる。健康食品業界の耳目を集めた「規制改革実施計画」が閣議決定した6月9日。同日、「生涯現役社会」の実現を目指すことを盛り込んだ「未来投資戦略2017」も閣議決定している。人類の歩みを①狩猟社会、②農耕社会、③工業社会、④情報社会 ̶̶ に分類。これに続く人類史上5番目の新しい社会として、様々な社会課題を解決する「Society5.0」を提言した。わが国の政策資源を集中投入する5分野のひとつに、「健康寿命の延伸」を位置付けている。団塊世代が75歳以上となる2025年に、AI(人工知能)などを活用した「新しい健康・医療・介護システム」が確立した社会像を示し、世界に先駆けて生涯現役社会を実現させることを目指す。新たな社会で、健康食品の果たす役割は̶̶。


機能性表示、まもなく1,000品に

機能性表示食品の 4 月末までの書類届出件数は約1,600件。受理数は 6 月26日時点で940品となっている。ファンケルでは、機能性表示食品で16年度84億円を売り上げた。アサヒグループ食品では D g S チャネルで機能性表示食品の売れ行きが好調。雪印メグミルクでは、機能性表示食品のヨーグルトが好調で、生産能力増強を発表している。このほか、カゴメやフジッコなどの成功例が伝えられている。

一方、「生産終了」「販売休止」を理由に届け出が撤回されるケースが出始めた。オハヨー乳業や安曇野食品工房などが届出を撤回している。

消費者庁が 4 月11日に発表した 1 万人規模の消費者意向調査結果によると、機能性表示食品を現在摂取している割合は 1割で、今後摂取してみたいと考えているのは 4 割近くに上る(右上グラフ)。こうした潜在需要の取り込みが市場拡大のカギだ。

ツルハがDgS2位に

上半期の販路別動向をみると、専門店等の食系流通チャネルでは、新たなヒット商材はみられなかったが、昨年のテレビ放映をきっかけとした「もち麦」ブームが継続。「機能性植物油」も市場に定着した。“飲む点滴”というキーワードが刺さった「甘酒」も引き続き人気を集めて・・・

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ネット通販が今後の主役

次に各種統計等の「数字」から、消費者の動きを見てみる。総務省統計局がまとめている家計調査では、2016年度の総世帯におけるサプリメント支出額は、1 世帯1ヵ月あたり1,179円で、前年度比1.0%増。「無職世帯」のサプリ支出は1,543円で平均を大きく上回るものの、前年度比は6.7%減と減少した。「無職世帯」は、リタイアした高齢者が大半を占めており、これまでサプリ支出を牽引してきただけに、いささか気になる動きとなっている。

家計調査を補完する目的で実施している「家計消費状況調査」では、2015年から、拡大するネット通販の利用実態調査を開始している。それによると16年度の総世帯のネット通販支出総額は 1 世帯 1 ヵ月あたり7,930円で、前年度比5.3%増。このうち健康食品は297円で、前年度比9.6%増と好調だった。ネット通販限定であり平均値としての支出額は少ないものの、対象とする22品の中で健康食品は11位。医薬品の76円、電子書籍の65円などを上回っている。ネット通販を利用する世帯が増加していることが背景にある。

日本通信販売協会が 6 月 1 日にまとめた「第24回全国通信販売利用実態調査報告書」では、2016年の通販世帯利用率は82%で、この数年大きな変化はないが、この 3年間で利用媒体の勢力図は様変わりした。

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消費動向と社会情勢の変化

消費者庁が 6 月 6 日にまとめた2017年版「消費者白書」では、「消費者を取り巻く社会経済情勢と消費者意識・行動」を特集。消費者の支出に対する姿勢について、「慎重な状態が継続」していると指摘した。

国民生活に余裕はなくなってきている。数値が高いほど生活水準が低いとされるエンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合)はここ数年で急上昇。2005年に22.9%だったエンゲル係数は2016年に25.8%となり、1987年の26.1%以来の水準となった。エンゲル係数だけで見れば、日本人の生活水準は30年前に戻っている。

こうした状況下で、明るい未来を見出し、生涯現役社会に向けて、健康食品は貢献できるのか。平均寿命と健康寿命の差がどれくらいあるのかをみると、各国ともおおむね10歳前後が多い。総務省統計局が 3 月10日に発表した「世界の統計2017」によると、2015年の平均寿命は、男・・・

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