長時間労働をする人は、ワークライフバランスが整った人よりも不整脈の一種である「心房細動」を発症する可能性が高いことが明らかになった。調査結果は「European Heart Journal」に掲載された。心房細動は、放置すると脳卒中や心不全を引き起こすことがある。長時間労働が脳卒中のリスクを高めることは、これまでの研究でも報告されており、調査チームは「(研究成果は)長時間労働と脳卒中の関係を説明する一因になりうる」としている。
調査チームは、平均年齢43.4歳の8万5494人の健康な男女を対象に10年間の追跡調査を実施。週55時間以上の長時間労働をしていた人たちは、労働時間が週35〜40時間の人たちと比べて心房細動になる可能性が40%高いことが分かった。また、長時間働いていた人たちは、肥満や高血圧の割合、飲酒量、喫煙率などが高い傾向が見られた。ただし、調査を始めた時の労働時間を基準に分析をしたため、対象者の働き方の変化は調査に反映されていないとしている。
心房細動は、息切れ、ドキドキする、めまいなどの症状が出ることもあるが、自覚症状がないことも多い。直ちに命の危険は生じないものの、放置すると血栓ができやすく、脳梗塞になる可能性が高まる。調査チームは今後、長時間労働がどのように心房細動の発症に影響するのかというメカニズムを解明する必要があるとしている。