日本人の失明原因第一位である緑内障の治療薬候補となる物質が発見された。東北大学の研究チームが、みかんの皮に含まれるポリフェノールの一種に視力の低下を抑制する効果があることを解明。内服薬やサプリメントで緑内障の治療や予防ができる可能性があり、同大はわかもと製薬と共同でサプリメントの開発を進めている。
緑内障は、眼圧が上昇することで視神経が障害されて視野が狭くなる疾患で、点滴薬や手術で眼圧を下げる治療が一般的だ。しかし、日本では眼圧が正常であっても緑内障が進行する「正常眼圧緑内障」の患者が多く、有効な治療法が確立されていない。研究チームの同大中澤徹教授らは、眼圧以外の要因として、酸化ストレスが緑内障の進行に影響することをこれまでの研究で明らかにしている。
中澤教授らは、抗酸化作用を有する物質を突き止めるため、網膜障害のあるマウスにポリフェノールの一種の「ヘスぺリジン」を投与。緑内障は、網膜神経節細胞が死滅して進行するが、ヘスぺリジンを投与したマウスの網膜神経節細胞は、投与しなかったマウスと比べて約2倍多く生き残った。また、ヘスぺリジンを投与することで、視力低下を防ぐことも確認。ヘスぺリジンには、酸化ストレスを抑制し、網膜神経節細胞を保護する効果があることが分かった。
中澤教授は「緑内障は、原因に応じた治療が必要。酸化ストレスが原因の緑内障に対して、適切な予防や治療ができる可能性を発見できた」と話している。