広島大学の研究チームが、味噌は血圧の上昇を抑制し、脳卒中を予防する効果があることを明らかにした。同大の渡邊敦光名誉教授らは、味噌に胃がんや大腸がんなどの予防効果があることもこれまでの研究で確認している。同名誉教授は「長い歴史のある味噌の効能が科学的に証明されつつある。味噌は、日本が長寿国である一因ではないか」と話している。
高血圧になりやすいラットを使った実験で、塩分濃度の高い餌(塩分2.8%)を与えたラットは、血圧が上昇し、短期間で脳卒中を起こす。一方で、同じ塩分濃度でも、味噌由来の餌を与えた場合は、塩分濃度の低い餌(塩分0.3%)を与えた場合とほぼ同じ程度に血圧の上昇が抑えられ、長生きすることが分かった。また、別の種類のラットを使った実験でも、同様の結果が確認できたという。
研究チームによると、味噌の熟成期間6カ月~2年の間に抗酸化作用や抗炎症作用などがある有効成分が発生している可能性がある。血圧の上昇抑制効果も味噌が発酵する過程で生まれた物質が影響したと考えられ、特定を進める。
チームの同大吉栖正生教授は「和食は塩分過多になりやすいが、味付けを味噌に変えれば血圧上昇を抑制でき、世界に対してもより一層和食の魅力を伝えることができるだろう」としている。