「人類はなぜ肉食をやめられないのか」(インターシフト)が面白い。副題に「肉が私たちを人間にした」の方が的確で、人類の登場から今日までの歩みが映画を見るように浮かび上がる。
「脳は体重の2%しか占めないが、安静時のエネルギーの25%を消費する」。その影響をまともに受けたのが腸で、コンパクトになったとの仮説だ。人類の祖先は、草や果物を大量に消化し、エネルギーを得ていたが、そのためには「大きな腸が必要」だった。腸を短くし、脳を大きく成長させるために、蜂蜜や木の実、肉(とりわけ調理した)などの高品質な食物が必要だったと。アフリカに生まれた人類の祖先が、人類の形を整え、世界に広がっていくことと肉の関わりなど。4日から始まる食品開発展でも、腸に関わるセミナーはどれも満杯だが、この一冊は、脳と腸の基本的な関係についても示唆してくれる。ベジタリアンや、自然食品業界の人にも読んでもらいたい一冊である。