超高齢社会の真っただ中にあるわが国では、団塊の世代が75歳となる2025年には後期高齢者が全人口の18%を占めることになる。また60年には、人口が8,674万人まで減少する一方で、65歳以上は全人口の40%に達すると予測されている。スポーツやレジャーにいそしむ前期高齢者が増える半面、問題視されているのが要介護・要支援状態となった後期高齢者の増加だ。健康寿命延伸が国策として掲げられ、予防医療と健康長寿を経済成長につなげる社会体系を構築するには“栄養と運動”が大きなカギを握る。骨・関節関連のサプリメント市場は1,000億円に迫る勢いで成長。タンパク質やビタミンDなど高齢者栄養をコンセプトとした一般加工食品もチャネルや売り場を拡大している。注目のアクティブシニアサポート食品市場を追った。
◆後期高齢者の「やせ」顕著に
厚労省が発表した国民健康栄養調査では、加齢とともにBMI25以上の「肥満」が減少し、BMI18.5以下の「やせ」が増加している実態が明らかになった。特に後期高齢者でこの傾向が顕著に。女子栄養大学准教授の府川則子氏は「加齢により体重・体水分量・除脂肪量・骨塩は減少し、体脂肪率は増加。骨格筋タンパク質代謝の割合は大きく低下する」と高齢者の身体的変化の特徴を話す。また、50歳から65歳まではメタボ予防で過栄養対策が必要な半面、75歳以上の後期高齢者はフレイルや低栄養を予防するための高タンパク摂取のギアチェンジが必要になると指摘している。
高齢者が寝たきり・要介護に至るまでには一連の流れがある。(1)歯周病などで歯が喪失し口腔機能が失われ食欲が
低下(2)さらに咬合力や舌運動力の低下などから低栄養と代謝量の低下がはじまる(3)その結果、サルコペニアやロコモに(4)最終的には摂食えん下障害や咀嚼機能不全を起こしてフレイル状態に―― という形だ。このように最近の研究では、口腔状態の悪化が食事をとりにくくし低栄養状態を引き起こすことでロコモやサルコペニアを発症するというフローが示されている。
この領域の研究は比較的新しいことから今後も多くの知見が報告されるものと思われる。
◆アミノ酸、プロテイン、乳酸菌などに脚光
ロコモやサルコペニア、フレイルを予防する食品素材として代表的なのがアミノ酸やプロテイン。スポーツ栄養のみならず高齢者栄養の領域で活発な動きをみせている。今年の注目素材となったHMBもスポーツやダイエット時のタンパク補給だけでなく高齢者向け食品への用途開発が進んでいる。さらには、抗疲労での訴求が……
求が進む…
◆”若返る高齢者”市場に商機あり
活況を呈しているプロテイン市場。国内市場の8 割はパウダーで飲料やバータイプなどが1 割ずつを占める。現在、300億円程度の市場規模で米国や豪州、北欧などには遠く及ばないが、国内プロテインブランドでは2~ 3 割成長しているケースも珍しくはない。製品仕様も40年ほど前の第1世代から現在は……
ウェブでは一部を公開。記事は「健康産業新聞 1630号」に掲載しています。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50頁)定期購読のお申し込みはこちら
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