今夏発表された「レジャー白書2017」(公益財団法人生産性本部)では、エステティック(ホームエステ含む)への潜在需要(希望率-参加率)が今回も堂々の第6位にランクイン(女性計)した。10代から60代までのいずれの年代も10位以内をキープしている。ところが、実際の参加率はというと、調査108種目中の47位。健康長寿で高まる美と健康ニーズの追い風を上手に受けきれていない実態が見えてくる。
ニーズは6位も実際利用は47位
「レジャー白書2017」(生産性本部)では、エステティック(ホームエステ含む)への参加人口は、2010年の1,000万人をピークに年々減少し、ついに2016年には460万人と半減(表1参照)していることが分かった。当然参加率も、2010年17.3%から減少し現在は8.1%と振るわない。生産性本部余暇創研への取材では、実際の参加率は108の種目中、全世代女性では47位。年代別で見ると、かろうじて女性20代が28位、コアターゲット層の30代40代でも30位にさえ入っていない。その一方で、「潜在需要(希望率ー参加率)」は、女性全体で、国内旅行、クルージング、ヨガ・ピラティス、温浴施設に次いで堂々の6位にランクイン。上位の常連だ。年代別でも10代から60代までで必ず10位以内をキープしている。つまり、憧れや希望はあっても実際の利用に結びついていないということだ。その高いハードルは、そもそも「美」への行動ならではの特性かもしれない。もしくは、そのせっかくの大きなニーズを、しっかりと受けとめきれないサービス提供側の深刻な課題があるのかもしれない。
消費者ニーズを見据えたフィットネスの取り組みにヒントが?!
2005年頃4,000億円の市場規模で肩を並べていたエステティック産業とフィットネス産業だったが、それからの12年は全く異なる展開となった。フィットネス業界は、健康長寿社会への順風の中、拡大を続けている。そのひとつの理由に、新事業モデルへの懸命な模索がある。大型施設の店舗展開に陰りが見えてきた2009年頃から、「曜日や時間帯のタイプ別会員制度」、「クラブ内サーキットトレーニング」、「専門特化型」、「簡易小型化」、「アウトドア化」、「女性専用」、「ヨガ・ピラティスジム」、「リハビリ」、「ストレッチジム」、「24時間利用」、「パーソナルトレーニングジム」等、積極的な取り組みがある。多様化するライフスタイルや、所得層や年代に向けて、各社は様々な手を打ってきた。そして、何より、業界が、サービスの品質の向上や、公的保険外サービスの構築など将来を見据えた活動に取り組んできたことがある。その結果、2012年からは拡大基調に転換、16年の市場規模は、前年2.1%増の4480億円と過去最高を記録した。今後益々の伸長が期待されている。こうしたフィットネスの姿に、これからのエステティックが取り組むべきヒントが隠れているのではないだろうか。それは、「最先端美容」だけでなく、「手頃な価格」で「日常美容に活用」できるもの、「短時間」なもの、「気になる部分」にフォーカスしたもの、「自分のペース」で選択利用できるもの。こうした様々なレベルの美容ニーズに耳を傾けた、使い勝手のいい、身近なエステティック。 いまこそ、「レジャー白書」が示しているエステティックの「大きな潜在需要」と「参加率の減少」の意味を、皆で受け止め、行動を始めなければならない。
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