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健食市場、2%増の1兆2,270億円 高齢者需要に陰り。ターゲットは50代

2017年の健康食品市場規模は、本紙のまとめで前年比1.9%増の1兆2,272億円となった。ピークだった05年の1兆2,850億円には届かないものの、調査開始以降で3番目に高い水準を記録。店舗数が増加したドラッグストアがインバウンド需要も重なり好調で、またアマゾンに代表されるネット通販の隆盛が市場拡大に貢献した。爆発的なヒット商材はなかったものの、ビタミン・ミネラルなどベースサプリや、青汁、乳酸菌など、従来からある実力派商材が市場を下支えした。

1635B_02a健康産業(UBMジャパン)

全体では堅調な伸び率となったが、最も市場規模が大きくなった通販では、5割近い企業が減収とのデータもあり、業界からは「好調と言っても実感がない」との声が多数聞かれた。頼みの綱だった高齢者の健食支出にも陰りが出始めた。人口減少という逆風下で今後も成長を続けるために、国民の揺るがぬ健康志向を受け止める対応が求められている。

ウェブでは一部を公開しています。全文は紙面(2018年1月3日発行・1635号/新年特別号)で

今後のターゲットは「50代」

昨年7月にまとまった経済財政白書は、「流通チャネルに大きな変化が起こっている」ことを指摘した。16年の売上高を10年前と比較すると、コンビニやDgSなど立地や品揃えを強みとした流通チャネルが拡大する一方、実店舗からネット販売へのシフトがみられるとした。消費の伸びが弱い背景には、“長寿化”が影響している可能性がある。長生きは慶事ではあるが、白書では「老後の生活への備え」のため、中高年層で節約志向が高まっている可能性があることに言及している。

そして16年後半からみられた動きが、リタイアした高齢者を中心とする「無職世帯」におけるサプリ支出の失速だ。17年1~10月の「2人以上世帯」のサプリ支出は前年同期比4.5%減。世帯類型別にみると、「無職世帯」のサプリ支出がプラスになった月は2回のみで、2ケタ減が7回もあった。要因は不明だが、年金収入や貯蓄に頼っている高齢無職世帯が振り向ける支出に、変化が生じている可能性がある。

2016年の総世帯対象の家計調査をみると、世帯主の年齢階級別サプリ支出は、1ヵ月あたり、50代が1,146円で15.2%増、60代が1,401円で4.8%増、70歳以上が1,834円で3.3%増。中高年齢層では50代が最も高くなっている。この「50代」は、今後の健食戦略を考える上で重要なターゲットになりそうだ。働き盛りである一方、老後を強く意識し、腰痛など身体の不調が気になる年代でもある。前述の「家計消費状況調査」では、ネット通販の健康食品支出額は……

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2018年の展望は

2%増と成長した健食市場に暗い影を落とすのが、日本全体に蔓延する人手不足の問題だ。人手不足の問題は、宅配便の配送料値上げと密接に結びついており、市場ではポストインが可能な厚さにするため、容器をボトルからアルミパウチに切り替えるという流れも出ている。帝国データバンクが先月にまとめた約1万社対象の調査では、2018年景気の懸念材料として企業が挙げた要因は「人手不足」が47.9%でトップ回答だった。

明るい材料としては、17年11月時点で2,600万人を超えた訪日外国人によるインバウンド需要がある。日本政府観光局のまとめによると、07年に835万人だったその数は10年で約3倍。安定した需要を生み出している。さらには、2020年の東京五輪に向けたスポーツ市場におけるサプリ需要がある。
一般消費者でも……

ウェブでは一部を公開。記事は「健康産業新聞 1635号(新年特別号)/2018年1月3日号」に掲載しています。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら

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