東海大学は2月14日、同大学校友会館(東京・霞が関)において、ロシア、極東地域の大学・日本企業との連携事業「ライフケア分野における日露ブリッジ人材育成:主に極東地域の経済発展を目的として」のスタートアップシンポジウムを開催した。
本事業は、文部科学省が推進する「大学の世界展開力強化事業~ロシアとの大学間交流形成支援~」の採択を受けたプログラムで、昨年の日露首脳会談で経済協力項目に盛り込まれた「健康寿命の伸長」と「高いQOL(Quality Of Life)を保つ健康長寿社会」の創出を目指して取り組まれる。
シポジウムには、基調講演として、元ロシアNIS経済研究所主任・ロシア語翻訳家 衣川靖子氏、極東連邦大学 キリル・ゴルフヴァスト副総長が登壇。ロシアにおける保険事情や政策、ライフケア人材育成の現状や取り組みが紹介された。また、東海大学国際教育センター ヤロスラヴァ・グラディシェワ助教からは、「日露の相互発展に必要とされる人材に関するアンケート調査」について中間報告がなされた。
さらに、極東地域のライフ産業に携わるパネラーによる事例を基に、現場目線での“人材育成への展望”を討論。ライフケア分野における日露ブリッジ人材に求める要素は、高い語学力は当然ながら、自分のグラウンドについて理論立てて説明でき、かつ相手が何を求めているのかを考えて伝えられる「マルチナショナルマインド」だとまとめた。
同大学では本年4月より、健康社会で活躍できる人材育成のための学科「健康学部健康マネジメント学科」を設立。同学科を中心に日露ブリッジ人材育成のための交流プログラムを実施する。事業責任者である山本佳男教授(同大学国際教育センター所長)によれば、交流留学生の本年度の目標は420名。連携大学(極東連邦大学、モスクワ国立大学、国立研究大学高等経済学院、サハリン国立総合大学)と協働し、日露の社会制度に精通し健康社会をけん引する即戦力として活躍できる人材の育成を目指すとした。