(株)三協(静岡県富士市、☎0545-54-1248)は13日、島根県邑智郡川本町に新工場となる島根川本工場を竣工、関係者200人に披露した。
新工場は敷地面積6,500坪内に地上3階建て延べ床面積1,500坪。ソフトカプセル製造からスタートし、8月末には顆粒や錠剤の製造にも着手する。生産能力は従来比で1.2倍となる見通しで、来月には本生産を開始する予定。九州地区をはじめとする西日本地区の出荷先分を川本工場が担当する。
最新機器も導入 ソフトカプセル製造3ライン
新工場は同社の主力品目ソフトカプセル製造からスタート。製造ラインは3ラインを用意した。静岡富士市にあるソフトプセル製造専用棟「日の出第4工場」が6ライン、日の出工場全体では11ラインが稼働で、新工場の製造が軌道に乗れば従来の1.3倍の増産が見込める計算。
製造ラインは同社の特徴ともいえる自社製造機器を組み込んだ一貫自動ラインを導入。カプセル充填から乾燥、外観自動検査が自動ラインで行え、外観検査機は富士日の出工場に設置している従来機に、新たにカメラを追加するなど改良を加え、より精度を高めた。原料、資材倉庫も富士日の出工場同様、コンピュータ管理できる自動倉庫を導入。パレット数は500で拡張性も十分だ。
また、山間工場ならではの対策も。「都市部の工場と異なり虫の対策に気を遣う」(和田副社長)とし、トラックからの荷受け時の虫の混入を防ぐため、防虫用のイエローカーテンや、螺旋状に風を吹き付けるエアシャワーを採用した。工場は本生産後、準備が整い次第GMP認証の申請を行うとしており、順調にいけば9月頃取得する予定。
「100年企業目指す」
同社は、安定供給に対するリスク分散や地方の雇用創出を目的に、2015年に島根への進出を決定。新工場地の選定にあたり複数の場所から誘致があったといい、熱心な誘致や町民のまじめさ、実直さが決め手となり川本町に決定した。代表の石川俊光氏は、「川本の地に根ざし、町と従業員、会社が三位一体となって発展させていきたい。100年後にも生き残れる企業を目指していく」と力強く挨拶した。
また同氏は、長野県にある伊那食品工業の工場や隣接する「かんてんぱぱガーデン」に感銘を受けたといい、「働く社員や地域の人、訪れる人が憩える空間にしていきたい」と、伊那食品工業塚越会長からもアドバイスを貰うなど準備を進めている。
「地方工場ならではの特色を」
工場長に就任した山口誠人氏は、富士から赴任。「当面は、富士の従来工場で試作、開発を行い、安定生産が可能な品目の製造からスタートするが、将来的には地方工場ならではの特色も出していきたい」と意気込む。川本町はエゴマの産地としても有名で、地場産品を利用した商品開発も視野に入れる。新工場の従業員は23名でスタート。工場長を除く22名は地元の人材を採用。約3年前より、富士日の出工場で研修を実施していた。