2002年の厚生労働省通知から、制度の認知向上、資格の活用方法など様々な課題が議論されてきた「アドバイザリースタッフ」制度。保健機能食品制度が2001年に開始された翌年2月、厚生労働省が「保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方」を通知して以降、民間レベルでの取り組みが本格化した。
現在、サプリメントの適正使用を助言する専門家として、民間の各認定団体が様々な特長を活かしたカリキュラムを実施。日本ニュートリション協会の「サプリメントアドバイザー」、新生活普及協会の「サプリメント管理士・同マスター」、日本臨床栄養協会の「NR・サプリメントアドバイザー」など、各認定団体がそれぞれ資格者を養成。各認定団体の資格取得者は、薬剤師、管理栄養士、臨床検査技師などの医療資格をもつ人が多い。なお、アドバイザリースタッフの認定資格者は年々増加傾向にあり、現在3万人を超えている。
一方で、「資格の社会的地位向上」「認知向上」「活躍の場が広がらない」などの課題も浮上し、アドバイザリースタッフとしてのスキルを充分に発揮できない状況が続いていた。活躍の場を見いだせないまま、「更新制度」をクリアせず、資格を手放す人もいたという。
こうした状況を一変させたのが、2016年にスタートした「かかりつけ薬剤師制度」および2015年にスタートした「機能性表示食品制度」だ。店頭やコールセンターなどでは、機能性表示食品、サプリの違いや、有効性、安全性、相互作用などに関する正しい情報を提供するための人材育成が急務となっている。
地域に密着する“かかりつけ薬局”では、調剤機能に加え、OTC医薬品やサプリメント、健康食品など様々な商品を取扱い、店頭でのカウンセリング販売を行っている。このため、医薬品との飲み合わせなどの相談件数が増加。店頭ではサプリメントや健康食品の知識も要求される状況で「多くの知識を身につけて、活躍の場を広げたい」と、自ら積極的にレベルアップを目指す薬剤師が増えている。また、認定講座などを社員研修に採用するケースもあるなど、人材育成の一環として、資格取得を推奨する企業も増加している。
さらに、2016年の消費者委員会の建議では、健康食品の表示・広告に関する監視を一層強化するため「栄養士やアドバイザリースタッフ」の活用が提案された。資格取得者の有効活用へ向けた動きとして、期待が高まっている。各新制度を契機に、長年議論されてきた「社会的地位の向上」「制度上の位置づけ」といった課題をクリアできる環境は整いつつある。
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