「大麦β-グルカン」による食後血糖値の上昇抑制、コレステロール値の低下など、機能性が一般消費者に浸透する大麦。昨今、「腸内フローラ」「腸内環境改善」の研究が進み、“不溶性食物繊維との食べ合わせで機能性がアップする”という新たな機能性研究が話題に。大麦を組み合わせた今後の製品開発に期待が高まる。市場では中食・外食でのメニュー展開、学校給食での提供、国産大麦の品種開発など、市場拡大への取り組みが加速している。
エサを失った腸内細菌、腸粘膜の“ムチン”まで浸食
食生活の欧米化を背景に、日本人の炭水化物(糖質+食物繊維)の摂取量が減少している。国民健康・栄養調査によれば、昭和28年度の423.9gから、平成27年度では257.8gと大幅な減少が続いている。
また近年話題の糖質オフブームでさらなる減少も予測されている。穀物から食物繊維を多く摂ってきた日本人にとって、穀物などに含まれる未利用炭水化物(腸内細菌のエサ)の減少は、腸内細菌の種類および数(多様性と言う)の減少も同時に引き起こしている。食物繊維研究の第一人者、大妻女子大学の青江誠一郎教授によれば、「日本人の腸内環境は絶対的なエサ不足の状態」と警鐘を鳴らす。エサを失った腸内細菌は、腸の粘膜に存在する多糖類(ムチン)までをエサとして消化することが近年の研究で明らかになった。
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小麦ブラン(不溶性食物繊維)の同時摂取
機能さらにアップこれまでの研究では、大麦β-グルカンの食後血糖値上昇抑制やコレステロールの正常化作用などが解明されてきた。こうした中で、現在注目されているのが「大腸の奥まで大麦β-グルカンをいかに届けるか」という視点の研究だ。青江氏によれば、大麦の摂取により「腸の菌が復活、種類も増加して全身に良い影響をもたらす」という。
大麦β-グルカンなどの食物繊維は、腸に届き腸内細菌のエサになるためだ。さらに最近の研究で、“食材の組み合わせで大麦の機能性がさらにアップする”ことがわかってきたという。
国産大麦、品種改良で進化中
国内で流通するもち麦(もち性の大麦)は外国産が多いなか、国産品への需要が高まっている。栃木県では2月、食用大麦として開発した新品種「もち絹香」を登録出願。特長ある国産大麦の誕生で、さらなる需要の拡大が期待される。
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