東京都は今年度、新たにウェブサイトでの不当表示通報受付を開始する。7月をめどに、すでに運用している悪質事業者などの通報サイトと一元化。インターネット広告表示監視に加えて、消費者が通報しやすい環境を整備し、不適正な表示に対する監視を一層強める。都の消費生活に関する政策パッケージとなる「東京都消費生活基本計画」に盛り込んだ。一方で、事業者活動が著しく制限されることになる“訪販お断りステッカー”をめぐって賛否両論が巻き起こり、今後の検討課題として残された。
基本計画は、小池百合子都知事が目指す「セーフシティ」のほか、「ダイバーシティ」「スマートシティ」の実現に貢献することを目指すもの。2018年度から2022年度までの5年間を計画期間とする。都の消費生活相談件数は年12万件台で推移。60歳以上からの相談は2013年度以降、4年連続で全体の3 割を超えている。不適正な取引行為等の排除に向けて、不当表示への監視を強化。年間2万4,000件行っているネット監視に加えて、幅広く迅速に情報収集を行うため、新たにウェブサイトでの不当表示通報受付を開始することを決めた。現在運用している悪質事業者及び架空・不当請求の通報サイトと一元化し、7月にも開設する。都内在住の消費者等から、健康食品を含めた不当表示を通報しやすくし、調査・指導等につなげていく狙いだ。
一方、基本計画で賛否両論となったのが、高齢者被害対策の一環として、「勧誘を希望しない消費者の意思があらかじめ明確に事業者に伝わり、その意思を尊重した営業活動を事業者に促す取り組み」などを検討するとした点だ。素案の段階で昨年11~12月に実施した意見募集では、賛成意見・反対意見がそれぞれ多数寄せられた。
「訪問販売お断りステッカーに法的効力を認めるなどの方策も積極的に検討すべき」「玄関先に訪問販売お断りと書かれているのに、多数の業者が訪れては不要な床下工事を5回も6回もさせている」といった意見があった。
他方、「多数の健全な事業者と一部の悪質な事業者を等しく扱うことになり、健全な営業活動まで排除される恐れが極めて高い」「経営に重大かつ甚大な影響を及ぼすことは明らか」「大多数の良質な事業者を存亡の危機に陥れてしまう」「宅内にしっかり断れる家人がいないことを示すことにもなる」など、ステッカーに法的効力を持たせることに反対する意見も複数に上った。
都では「検討中であり、方向性を示したもの」に過ぎないとコメント。具体策についても、「5 年間の計画の中で検討していく」としている。
本記事は「健康産業新聞 1643号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら
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