インスリンの分泌に関与するβ細胞をビタミンDが修復する可能性があることが、米国カリフォルニアのソーク研究所が行った実験でわかった。論文は10日、「Cell」に掲載された。
すい臓にあるβ細胞が機能不全に陥ると、血糖値をコントロールするインスリンがうまく生成できなくなる。これまで、血中のビタミンD濃度が低いと、糖尿病のリスクが高くなることは分かっていたが、そのメカニズムは解明されていなかった。
研究グループは、ビタミンDの受容体に着目。胚性幹細胞を使い、ビタミンDと結合して、ビタミンD受容体を活性化する化合物「iBRD9」を突き止めた。糖尿病を発症させたマウスの実験で、この化合物とビタミンDの結合体は、血糖値を正常値に戻す働きがあることを確認した。マウスに副作用は見られなかった。安全性の確認などを進め、ヒト臨床試験を行う方針だという。