朝食ビュッフェにサプリメントを並べるホテルが登場し、SNS上で話題を呼んでいる。近年健康志向の高まりを受け、ビジネスホテルなどが「健康朝食」を謳うなど健康の要素を取り入れたサービスを行う施設が増えている。雑穀米やオーガニック野菜など、健康イメージの強い素材を積極的に取り入れた食事メニューの展開や、サプリメントを直接提供するケースなどバリエーションが広がっている。さらには、宿泊者個人の不足している栄養素をその場で自動解析し、複数の栄養素をミックスした粉末を提供するオーダーメイドサーバーを設置するホテルも登場するなど、単に宿泊施設に留まらないおもてなしサービスが過熱している。
安眠枕の導入や、アロマオイル、ホットアイマスクといったボディケア類のアメニティグッズの充実など、健康を切り口としたホテルの集客サービスが加速している。特に都市型ビジネスホテルなどは競争も激しく、モノ消費からコト消費への移行も手伝って宿泊に付随する顧客体験などの付加価値サービスの付与を重視する傾向に。健康をキーワードとした関連サービスは全宿泊者に共通してニーズが高いという点から、ホテル側も取り入れやすく、サービス内容のバリエーションが広がっている。
冒頭のサプリメントの提供は、神戸市にある会員制リゾートホテル「ダイヤモンド有馬温泉ソサエティ本館」のサービス。朝食会場では通常の食事メニューに加え、「コエンザイムQ10」や「ベータカロテン」、「大豆イソフラボン」といった市販品のシリーズサプリメントが7種類用意されている。宿泊者が写真をSNSに掲載すると、「他でもやって欲しい」など好意的な意見が多くみられた。同施設担当者は、「2014年に朝食提供をビュッフェ形式に変更した際、他にないサービスとしてサプリメントを導入した。普段からサプリメントを摂取している会員の方が多く、女性を中心に好評」と言う。
こうした取り組みは増えており、「ホテル日航成田」でも同様に朝食ビュッフェにベースサプリメントのゾーンを設置している。
豪華カプセルホテルを展開するニュートン・サンザグループが先月新たにオープンさせた「安心お宿プレミア京都四条烏丸店」では、不足している栄養素の解析から提供までをワンストップで行うオーダーメイドサプリメントサーバー「healthServer(ヘルスサーバー)ドリコス社製」を設置した。同サーバーは、内蔵された生体センサーに触れることで身体や精神への負担の大きさを推定し、スコアをもとにサプリメントの量や種類を決定する最新マシン。さらにタブレット端末に性別、年齢、前後の予定を入力するだけで、不足する栄養素を自動で解析し、粉末タイプのサプリメントを提供する仕組みとなっている。
こうした健康面へ配慮したサービスは拡大傾向にあり、今後も加速するとみられる。2020年のオリンピック開催を控え、都市部ではホテルの新規開業ラッシュとなっているが、健康面の付加価値を加えたホテルサービスが“日本のおもてなし”の一貫として主流になるかもしれない。
本記事は「健康産業新聞 1644号」に掲載。「健康産業新聞」(月2回発行/1号あたりの平均紙面数は約50ページ)定期購読のお申し込みはこちら
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