新潟発の新しい付加価値の創造を目指す健康ビジネス連峰政策が11年目を迎えている。民間で同政策を推進する健康ビジネス協議会は、働く人の健康と環境への配慮をテーマにする水性印刷商品認証制度をはじめ、着実に取り組みを進めている。新潟県産業労働観光部産業振興課長の利根川雄大氏は、「県と協議会は車輪の両輪」といういままでの姿勢を強調し、今後も協議会の行動力に期待するとしている。
―水性印刷商品認証制度の運用が始まっているが、県として現状をどう見ているか?
平成27年3月末時点で4社27商品が認証されているが、特徴的な点は、大阪や愛知といった県外の企業も含まれていることだ。
この取り組みは全国に先駆けたものであり、新潟県内で閉じられたものにしようとは健康ビジネス協議会も考えていない。県としても、新潟発の取り組みとして評価しており、協議会の方々の行動力が大きな役割を果たしていると考えている。
数字としては4社ということだが、県外企業の協議会への入会や認証申請も増えていると聞いている。まだまだ始まって1年という取り組みなので、県としても、新潟県発の取り組みとしてPRに努めていきたい。
―それに続く第二弾の取り組みとして、「要配慮者向け災害食」の認証制度が準備されているが、その進行状況を県としてどう見ているか?
協議会からは、今年度中にスタートしたいということを聞いており、県としても、大いに期待している。そもそも健康ビジネス連峰政策そのものが、新潟県の災害経験や、食品分野での既存の技術などの強みを活かして他との差別化をはかり、新潟の付加価値を高めるという方向性を持っている。災害食はまさにその意味でうってつけの分野だと思う。
熊本での地震もあったが、そういった災害への取り組みというのは様々なところでいわれる問題であり、まさに時期を得た取り組みだといえる。第二弾の取り組みとして、羽ばたいていってほしいと願っている。
―新潟県で災害対応の知見が広まっている背景にはどういう理由があるか?
やはり、数年のうちに中越地震と中越沖地震という災害を経験していることが大きいと思う。東日本大震災の時にも、被災者の受け入れなどで迅速に動くことができた。
熊本地震の際に、支援の形でプッシュ型やプル型といった議論がメディアでも報道されたが、同様の議論は中越地震の時にもすでにあったものだ。またエコノミークラス症候群の問題についても、中越地震で広く注目されたものと認識している。
―健康ビジネス連峰政策と健康ビジネス協議会の今までと今後を見据えたうえで、現状をどのように判断しているか?
よく申し上げることだが、健康ビジネス協議会と新潟県というのは車の両輪であり、両方がうまく回ることによって前に進んでいくという意識をもって取り組んでいる。
中小企業が多く、ヒト・モノ・カネといった経営資源が限られている中で、協議会を通じて情報共有なり、ネットワークなりの場が提供されていることは大きいと考えている。協議会という民間主体の団体ができたことの一つの意義がそこにあると思う。
これから、ということでいえば、水性印刷商品認証制度をはじめとする協議会独自の取り組みが、第二弾、第三弾と続いていくことを期待している。そういう民間主体の取り組みがより一層進んでいくとよいと考えている。
―新潟県ではなく、民間主体で、ということか?
県が手を離すということではなく、政策的に進めるべきところは県の役割になる。ただ、協議会の方でも会員数が増えてきているということを聞いているので、会員企業の皆さんがメリットを感じることのできる取り組みは、ぜひ進めていってほしいと考えている。
独自の取り組みとして、新潟県が強みを持っている部分がポイントになると思う。そこは健康ビジネス協議会もかなり強い意識を持っており、私から申し上げるまでもないとは思うが、そこからビジネスにつながっていくことが重要だと考えている。