欧米・東南アジア市場に軸足
台湾でクロレラを培養する主要3社の年間生産量は約1000トンで、日本の需要低下の影響もあり、東南アジア、米国、欧州などへの出荷に軸足を置いていることが、本紙の現地取材でわかった。
クロレラ、スピルリナなど、微細藻類の生産地として知られる台湾の主要企業三社を訪問。今年の生産状況や、培養技術の革新、国際市場での動向などについて19日、20日の2日間取材した。現在台湾では、味丹バイオテック、台湾緑藻、光璧などが日本向けに高品質のクロレラ、スピルリナなどを培養・供給している。
今年は空梅雨で干ばつが懸念される中、6月~7月はゲリラ豪雨、異常な気温上昇などが重なり、クロレラの収率に影響した。「集中豪雨で、培養プールが溢れることもしばしばあり、異常天候の影響が年々大きくなっている」(光璧企業)という。
培養メーカー各社では、天候が安定する時期に培養工程を集中させる計画生産を推進。回収と培養再開のシステム構築、新たな培養方法の開発を進め、天候不順に迅速に対応している。「クロレラ培養は自然との戦いであり、そこに価値がある」「悪環境のなかで生き残る“強いクロレラ”は栄養価も高い」とする培養メーカーもあり、今後も起こりうる天候不順を見据えた安定生産が大きなテーマとなっている。
通常、クロレラの培養プールはコンクリート製となっているが、FRP(繊維強化プラスチック)を採用することで、よりサニタリー性を高めた培養に着手するケースも。また、見学コースを新設することで、クロレラ培養プールの“見える化”を計画している培養メーカーもある。
各社では、FSSC、HACCP、ISO、オーガニック、KOSHERなどの各種認証を工場で取得、海外展開に弾みをつけている。欧米や東南アジアでは「デトックス」「ヴィーガン」を切り口に、クロレラがブームになっている。
方日本市場では、スーパーフードや青汁などのアップトレンド分野に十分参画しきれていないのが現状だ。こうした中、大手百貨店やドラッグチェーンがクロレラの商品化を企画。サン・クロレラでは、飲用通知等を提供するサービスを提供するなど、新たな動きもある。9月には「クロレラ・機能性植物研究会」(会長:東北大学宮澤陽夫教授)が設立される予定で、市場再興に向けた機運が高まりつつある。