わが国では、薬事法による表示規制から素材の名前だけで美容や関節といった機能性が容易にイメージできる人気カテゴリーを除いて、新しい機能性分野の市場開拓が遅れている。このような状況下、脳機能改善素材は高ストレスや進む高齢化を背景に、ニーズは確実に高まっており市場規模は確実に大きくなっている。最近は「脳栄養学」という新たな分野の開拓が進み、食品成分が脳機能改善に有効だとする研究が進んできたことも市場を後押しする要因となっており、今後も市場の伸びが期待される。
本稿では、今後ニーズがますます高くなっていくことが予想される脳機能改善素材についてみていく。
認知症患者増加の実態
加齢やストレスによる脳機能の低下は記憶力の低下、不眠、うつ、認知症を引き起こす原因となることが解明されているが、高ストレス化、超高齢化が進むわが国において、うつ病や認知症患者の増加による介護や医療費の問題は見逃せない重要な課題となっている。
厚生労働省が3年ごとに行っている「患者調査」よると、1996年から2008年の12年間でうつ病患者は2.4倍に増加しており、104.1万人にも上っていることを報告している。
高まる脳機能改善素材のニーズ
脳機能改善素材の市場は4~5年前までは大きな動きがなかったが、進む高齢化を背景に2~3年ほど前から脳機能改善素材のニーズが高まり市場が活性化してきている・・・
【主な脳機能改善素材のサプライヤー】
●PS(ホスファチジルセリン)
ヘルシーナビ、DKSH、ビーエイチエヌの3社で構成されるリパミン広報センター
●PC-DHA
●α-GPC
●酵母ペプチド
ヘルシーナビとビーエイチエヌが共同で韓国Neo Cremar社製「NoTress」を販売
●SAMe含有酵母
●イミダゾールジペプチド(カルノシン・アンセリン)
●L-カルニチン
●鉄
●イチョウ葉エキス
●ウコン
●バコパモニエラ
●米ぬか抽出物(フェルエラ酸)
●ラフマ
●わかめ抽出物
●クチナシ抽出物
●ヤマブシタケ抽出物(アミセノン)
●レスベラトロール